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完全帰還のJFAアカデミー 県内2人合格 福島で技磨き世界へ

2023.12.24 09:29
JFAアカデミー福島から、将来のなでしこ入りを目指す北信JFCの緑川さん
「世界で通用する選手になる」と意気込む会津サントスFCジュニアの小滝さん

 日本サッカー協会(JFA)の選手育成機関「JFAアカデミー福島」に2024(令和6)年度入校する19期生に、県内の男女各1人が選ばれた。アカデミーは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い双葉郡から静岡県に移転。2021年に戻った男子に続き、来春には女子も本県で活動を再開する。多くの代表選手を輩出し、13年ぶりに“完全帰還”するアカデミーで全国から集うライバルと技を磨く。

■なでしこ目指し鍛える 北信JFC 緑川真生さん

 2011(平成23)年以来、13年ぶりに楢葉町に戻る女子に合格したのは、福島市の北信JFCの緑川真生(まお)さん(12)=鎌田小6年=。「福島で生まれ育った選手として、地元のアカデミーでもっと技術を磨きたい」と新生活を見据え、意気込んでいる。

 兄天斗(たかと)さん(20)=仙台大2年=、姉優希さん(17)=桜の聖母高2年=の影響で小学校入学を機にサッカーを始めた。2年生で2人と同じ北信JFCに入団。男子選手と切磋琢磨(せっさたくま)し、市内のサッカースクールに通うなど「サッカー漬け」の日々を過ごしてきた。

 チームでは主にボランチやセンターバックを担当しており、「相手ボールを奪ったり、ゴールを決めたりするのが楽しい」と攻守に競技の魅力を感じている。北信JFCの加藤康二監督(47)は上達を目指す練習姿勢や広い視野、試合中の状況判断力を緑川さんの長所に挙げた上で「一つ一つステップアップし、日の丸を背負う選手になってほしい」と飛躍を願っている。

 アカデミー福島の女子は歴代の日本代表「なでしこジャパン」に人材を送り出してきた。今夏のワールドカップ(W杯)にはMF遠藤純(エンゼルシティー、白河市出身)、GK平尾知佳(新潟)、DF三宅史織(INAC神戸)、DF守屋都弥(同)、DF石川璃音(三菱重工浦和)の5選手が選ばれた。緑川さんの憧れは司令塔を担っているMF長谷川唯選手(マンチェスター・シティー)だ。「日本代表を目指して自分を鍛えたい」。福島の地から世界へ飛び立つ覚悟だ。

■守備力向上へ「貪欲に」 会津サントスFCジュニア 小滝音叶さん

 男子には喜多方市を中心に活動する会津サントスFCジュニアの小滝音叶(おんか)さん(12)=山都小6年=が選ばれた。「世界で通用する選手を目指す」と目を輝かせる。

 幼稚園時代に同クラブでサッカーを始めた。センターバックを主に務め、1対1で負けない体の強さと巧みなボールさばきを持ち味としている。各種大会で実力を発揮し、小学5年時にアカデミー関係者の目に留まったという。現在は主将を務め、11月の全日本U―12選手権県大会でチームを優勝に導いた。2年連続で入校者を出した須藤裕貴監督(45)は「貴重な左利きの選手でリーダーシップもある」と評価する。

 憧れの存在には「味方のために、身を削る姿が印象的」という元スペイン代表のDFセルヒオ・ラモス選手を挙げる。守備がうまく、プレースタイルが自分と似ていると感じている。将来の日本代表入りを目標に掲げ「まずは貪欲に練習し、チームに欠かせない選手になる」と向上心を口にした。

■選手羽ばたく場に 橋本県サッカー協会副会長

 アカデミーへの県出身選手の入校は県サッカー協会にとっても吉報だ。橋本善一郎副会長兼専務理事(65)は「アカデミーで成功した選手は多い。恵まれた環境で技術を高め、次のステップに羽ばたいてほしい」と期待している。

※JFAアカデミー福島 JFAが運営する全寮制の選手育成機関。2006(平成18)年に男子は広野町、女子は楢葉町で開校した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受けて男子は静岡県御殿場市、女子は裾野市に活動拠点を移した。男子は2021(令和3)年に広野町に拠点を戻した。男子は中学3年間、女子は中高6年間のプログラムでサッカー選手に必要な技術や体力、知識を培う。