国内外のスポーツ大会で活躍し、今春、福島県内の高校を卒業する主なアスリートの進路が決まった。自転車スプリント種目の高校3大タイトルを総なめにした実力者、バドミントンの世界ジュニア選手権で表彰台に立ったペア、混成競技で目覚ましい成長を続ける期待の新星―。それぞれ難関を突破し、新たなステージで五輪など世界を見据え努力を重ねる。
■自転車・学法石川(石川町) 榊枝天旺→競輪選手養成所 結果で福島に恩返し
学法石川自転車競技部の榊枝天旺(てお、18)は日本競輪選手養成所に合格した。昨年の全国高校選抜、全国高校総体(インターハイ)、国民スポーツ大会(国スポ)のスプリント種目で三冠を達成した。「もっと強くなりたい。日本を代表する選手になる」と大望を抱く。
郡山市出身。競輪選手の父輝文さん(48)の影響で、幼い頃から自転車は身近な存在だった。石川義塾中で本格的に競技を始め、高校生とともに練習した。5月から入る養成所では、トップスピードとスタミナの底上げに努め、来年1月のプロデビューを狙う。
高校の先輩にはパリ五輪2種目で6位に入った窪木一茂(35)=愛三工業=がいる。競輪でも実績を上げ、スプリントやケイリン種目で五輪出場を目指す。「金メダルを獲得し、勇気や感動を与えられる選手になる。結果で福島に恩返ししたい」と成長を誓った。
■バドミントン・ふたば未来(広野町) 松川健大→日立情報通信エンジニアリング 中静悠斗→NTT東日本 ライバルとして飛躍誓う
ふたば未来バドミントン部の松川健大(18)=横浜市出身=と中静悠斗(18)=宇都宮市出身=ペアは昨年秋の世界ジュニア選手権男子ダブルスと国別対抗戦で銅メダルを獲得。松川は日立情報通信エンジニアリング、中静はNTT東日本に進む。ともに国内最高峰S/Jリーグ1部の強豪だ。今後は別の選手とペアを組み、ライバルとして五輪でのメダル獲得を誓う。
高校2年の夏にペアを結成し、松川のスピードと中静の強打を生かし合い勝利を重ねた。県外からふたば未来中に進学し、福島県で励んだ6年間を2人は「満点以上の150点」と充実した表情で振り返る。
本多裕樹監督(40)によると、ふたば未来出身で世界ジュニアの個人種目でメダルを獲得したのは7年ぶり、日本男子でも5年ぶり。パリ五輪に出場した富岡高出身5選手のように「日本のバドミントンを引っ張る存在にならないといけない2人」と期待をかける。
新天地でもダブルスを主戦場に日本代表入りを狙う。松川は「五輪のメダルを目指し後輩が憧れる選手になる」、中静は「日本を背負って戦い、世界大会で優勝したい」と夢を膨らませた。
■陸上・会津学鳳(会津若松市) 高橋駿士→順大 着実に力をつける
全国高校総体(インターハイ)陸上の男子八種競技で県勢初の優勝を果たした会津学鳳の高橋駿士(はやと、18)は順大に進む。「世界で戦える選手になる」と目標を掲げる。
会津若松市出身。インターハイに初出場した2年時は12位に沈んだ。3年時は県高体会津地区予選会、県高体、東北大会で立て続けに県高校記録を更新。昨年7月の全国大会でもさらに県高校新記録の6125点を樹立。従来の大会記録を40点上回り、頂点に立った。
大学では円盤投げと棒高跳びが加わった十種競技に挑戦する。大学4年時に迎えるロサンゼルス五輪の混成競技出場が目標だ。「参加標準記録を切れるよう、着実に力をつけていく」と力を込めた。