近年、陸上のロードレース上位者の所属で頻繁に見かける「Aプロジェクト」。福島県二本松市を拠点とするクラブで、高校や大学を卒業した長距離選手が競技を続ける受け皿として存在感を高めている。企業チームを中心に競う東日本実業団対抗駅伝出場を目指し、精鋭ぞろいの市民ランナー集団が脚力を磨いている。
2023(令和5)年4月、代表の渡辺徳(あつし)(41)ら市町村対抗県縦断駅伝競走大会(ふくしま駅伝)二本松市チームの選手を中心に発足した。約10市町村の会社員、教員、団体職員ら30人が所属する。週3回の活動日を設け、遠方の選手はLINEで共有される練習内容を基に、走力に応じたメニューを組む。ロードレースの他に県内外の駅伝にも参戦している。
年齢は21~41歳。東北6県対抗の奥羽横断駅伝競走大会で県代表常連のベテランに加え、箱根駅伝のエントリー経験者、県高校駅伝の男子で14連覇中の学法石川高出身者ら20代前半の選手も増えてきた。今春も大卒1人が加入予定だ。県内クラブで随一のハイレベルな環境と、大会での実績が〝同志〟を増やしている。
東日本実業団対抗駅伝は元日の全日本実業団対抗駅伝の予選を兼ねる。クラブチームが増加傾向にあり、昨年は約3分の1を占めた。日本実業団陸上競技連合に登録し、5千メートルの平均タイムで一定の基準を満たせば出場できる。渡辺は「県総合スポーツ大会の長距離種目で複数人が上位に食い込むなど、駅伝で勝負できる戦力を整えたい」と足元を見つめている。
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Aプロジェクトはジュニア年代の育成にも力を入れており、1月の全国都道府県対抗女子駅伝に出場した田中悠莉(二本松一中2年)ら中高生25人が所属している。