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フェリング・ファーマ、最新の治療動向や患者さんの抱える課題を紹介する膀胱がん啓発メディアセミナーを開催

2025.09.09 12:30
フェリング・ファーマ株式会社
膀胱がん患者さん200名の調査より、BCG治療と膀胱全摘術に対する身体的、精神的負担が明らかに

- フェリング・ファーマは、最新の治療動向や膀胱がん患者さんが抱える課題などを、医師・患者の立場から紹介・議論する膀胱がん啓発セミナーを9月2日に開催しました
- 本セミナーで紹介するデータとして、セミナーに先立ち、膀胱がん患者さん200名に対し、疾患認知から治療、生活に至る道のり「ペイシェントジャーニー」を可視化する調査を実施しました
- 調査結果から、標準治療であるBCG膀胱内注入治療とBCG治療後から膀胱全摘に至るまでの患者さんの身体的、精神的負担が明らかになりました
- 他の患者さんの体験談・他の治療選択肢などの情報が患者間で共有されにくい情報連携・コミュニケーション機会の不足について、国内で膀胱がんに特化した患者会が不存在なことなどが影響している可能性もセミナーで指摘されました


 フェリング・ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:ジョン・プルバー、以下「フェリング・ファーマ」)は、筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)と診断されBCG膀胱内注入治療を受けた患者さん200名を対象に、疾患認知から治療、生活に至る道のり「ペイシェントジャーニー」を可視化する調査を実施しました。本結果をもとに、最新の治療動向や患者さんが抱える課題などを紹介・議論する啓発セミナーを9月2日に開催しました。

■膀胱がん患者さんの実態
【概要】
調査対象:筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)と診断され、BCG膀胱内注入を経験した患者200名
調査方法:選択式回答によるオンラインアンケート調査
実施時期:2025年5月~8月

- 尿の変化で約8割が膀胱がんを疑い、一部心理的抵抗で病院に相談できていない方も存在

 膀胱がんを疑った最初のきっかけは、「血尿」が66%、「頻尿」が10%、「排尿時の痛み」が8%であり、大半が尿の変化が起点となっています。その後、82%の方が1か月以内に受診していますが、18%の方は受診までに1か月以上の期間を要していました。 1か月以内に受診しなかった理由として、34%が「受診することの心理的抵抗」、「症状が軽度であったため」で病院に相談できていないと回答していました。






- 標準治療(BCG膀胱内注入治療)について4人に一人が予定回数に満たず。BCG治療に関する負担も7割が実感

 現在の標準治療であるBCG膀胱内注入治療は、患者さんの状態に応じて、通常複数回行われ、その有用性が確立されているものの、4人に1人(24%)が予定回数を完了できなかったことも分かりました。特に、予定回数8回の患者さんでは40%が予定回数実施未達成の結果も確認されました。また、投与回数、膀胱注入施術の身体的負担、施術時間、通院頻度について、いずれも70%以上の患者さんが負担を感じているという実態が明らかになりました。



- 膀胱全摘に関しては97%の患者が抵抗感を抱き、ネガティブな感情への跳ね上がりも大きい

 BCG治療後、再発等を経て、膀胱全摘除術となる可能性があります。ただ、今回の調査で97%の患者さんが膀胱全摘を「行いたくない」「避けたい」と考えていることが分かりました。また、BCG治療を重ねるごとにネガティブ感情は少しずつ増え、膀胱全摘確定時が最もネガティブな感情になることも明らかになりました。






- SNSからの情報取得はわずか4%。患者ならではの情報にたどり着きにくい現状

 医療関係者以外の情報源としては、インターネット検索が80%と最多で、SNSはわずか4%と、個々の患者さんの経験に基づく情報にたどり着きにくい可能性が見られました。また探索している情報としても、「治療内容」(56%)「疾患内容」(51%)の他、「副作用」(37%)「他患者の体験談」(33%)「他の治療選択肢」(22%)と患者ならではの情報へのニーズも確認され、日本国内で膀胱がんに特化した患者会が不存在等の影響も考えられ、患者同士のコミュニケーションがとれる環境が整備されれば、これらの課題が解決される可能性が示唆されました。
 一方、医師から希望や要望を聞かれた場合、42%の患者さんが伝えられたのに対し、医師から聞かれなかった場合においては、3%の患者さんのみが希望等を伝えたという結果となり、医師からの働きかけがないと、患者さんから希望や要望を伝えることができていない実態が浮き彫りになりました。これは、患者側の情報不足が医師とのコミュニケーションにも影響している可能性が考えられます。



※本アンケートの結果は、特定の集団に対して実施されたものであり、必ずしも全ての患者様やご家族の傾向を反映するものではありません。

■調査結果から見た現在の標準治療と今後の展望を議論
 本セミナーでは、上記患者調査の紹介に加えて、東京大学医学部泌尿器科学教室 教授・日本泌尿器科学会 理事長 久米 春喜先生、聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学 主任教授 菊地 栄次先生、一般社団法人 CSRプロジェクト 代表理事 桜井 なおみ様、膀胱がん患者 で現在ビジネスコンサルタントしてご活躍されている、小出 宗昭様をお招きし、それぞれの見地から議論いただきました。

 久米先生、菊池先生からは、専門医のお立場から膀胱がんの最新の治療動向を講演いただきました。具体的には、「血尿ガイドラインから見た早期受診の重要性」(菊地先生)「膀胱がんの診断とTURBTについて」(久米先生)「BCG治療と全摘除術の実際」(菊地先生)「ロボット手術による膀胱全摘除術について」(久米先生)について、それぞれの最新の治療動向や早期発見・早期治療の意義などをお話いただきました。



聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学 主任教授 菊地 栄次先生

 後半には、ご自身も乳がんを経験された後同世代のがん患者とつながるための患者会を立ち上げた桜井なおみ様をファシリテーターに、膀胱がん患者さんを代表して小出宗昭様をパネリストに迎え、医師・患者それぞれの立場から、膀胱がん患者さんの抱える課題等4テーマについてディスカッションいただきました。

 最初のテーマは「早期受診に向けて患者さんができること」。菊地先生より、血尿を見逃さないコツ、血尿がみられた際の早期受診の必要性や検査の重要性について改めてお話いただいた後、小出様より、ご自身が膀胱がんを発見した際の経緯、血尿が膀胱がんの重要なサインであることをお話いただきました。



日本泌尿器科学会 理事長 久米 春喜先生

 次に「標準治療であるBCG治療の有用性と患者さんの精神的・身体的負担」について、久米先生よりBCGが使われる背景や治療方法、有用性や副作用をお話いただいた後、小出様よりBCG治療の副作用や仕事と家庭の両立の難しさ、BCG治療以外の新たな治療法が開発されないもどかしさなどをお伝えいただきました。特に、BCG治療を行う上で想定される様々な心身の負担について、予め医師とのすり合わせがあまりできなかったご経験から、他の抗がん剤治療と同様、医師とのコミュニケーションの重要性を改めて訴えられました。



一般社団法人 CSRプロジェクト 代表理事 桜井なおみ様

 これらを踏まえて、続いては「シェアード ディシジョン メイキングと新たな治療選択肢」というテーマを掲げ、菊地先生からBCG治療が不応の場合の定義や、現在の新薬開発の動向、膀胱全摘までの期間を延ばす治療の可能性についてお話いただきました。さらに、小出様より、膀胱全摘という意思決定を行うまでにサード・オピニオンまで求めたことなど、医師や家族とのコミュニケーションを振り返っていただきながら、膀胱がんでは患者・医療者双方からの発信が少ないことへの課題意識をお伝えいただきました。



膀胱がん患者 小出宗昭様

 最後のテーマは、現在日本において膀胱がんに特化した患者会がない現状を踏まえ、「患者同士のコミュニティ設立」について議論されました。小出様より改めて当時の孤独感や患者同士の情報交換の必要性などをお話いただき、久米先生からも治療継続のモチベーションや精神的支援の重要性について、改めて訴えられました。

 出席メディアからは、BCG膀胱内注入治療は、地域や施設によって注入回数が異なるのか、新薬の開発が現在の膀胱がん治療に与えるインパクトについてなどの質問があり、菊地先生より、BCG治療は患者さんの多様性を考慮した対応が求められること、現在様々な薬剤の開発が進行しており、臨床で処方できるようになれば、膀胱がん治療の治療は劇的に変わるであろう、とコメントがありました。

パネルディスカッション

登壇者一同

【開催概要】
■開催日時 :2025年9月2日(火) 15:00~16:30
■開催場所 :AP東京八重洲 11F Kルーム (東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル)
■プログラム:

【登壇者略歴】
久米 春喜 先生 東京大学医学部泌尿器科学教室 教授
<経歴>
1990年    東京大学医学部附属病院
1992年    国立がんセンター中央病院
1996年    東京大学大学院医学系研究科(東京大学分子病理学教室)
2000年    国際医療福祉大学助教授 山王病院医長兼任
2002年    あそか病院 科長
2003年    東京大学医学部 講師
2008年    東京大学大学院医学系研究科 准教授
2011年    米国UCLA留学
2016年    国立国際医療研究センター 診療科長
2017年    国立国際医療研究センター 手術管理部門長併任
2017年~現在 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学教授
2019年    東京大学医学部附属病院病院長補佐
2023年~   東京大学医学部附属病院副病院長
2025年~   日本泌尿器科学会 理事長





菊地 栄次 先生   聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学 主任教授
<経歴>
1994年 慶應義塾大学医学部卒業
        慶應義塾大学医学部研修医(泌尿器科)
1995年 北里研究所病院外科出向
1996年 慶應義塾大学医学部助手(専修医)(泌尿器科学)
慶應義塾大学助手(医学部泌尿器科学)
1997年 国立栃木病院出向
1998年 慶應義塾大学助手(医学部泌尿器科学)
1999年 東京都国民健康保険団体連合会南多摩病院出向
2000年 慶應義塾大学医学部助手(泌尿器科)
2001年 米国メモリアルスロンケタリング癌センターに留学
2003年 慶應義塾大学医学部助手(泌尿器科)
2004年 公立福生病院出向
2004年 博士(医学)取得
2005年 慶應義塾大学助手(医学部泌尿器科学)
2009年 慶應義塾大学専任講師(医学部泌尿器科学)
2017年 慶應義塾大学准教授(医学部泌尿器科学)
2019年 聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科学教授
2022年 聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科学主任教授 (名称変更)





桜井 なおみ 様 一般社団法人 CSRプロジェクト 代表理事
<経歴>
大学で都市計画を学んだ後、コンサルティング会社にてまちづくりや環境教育、排出権取引や費用対効果などを担当。がん罹患後は患者・家族の支援活動を開始、現在に至る。一般社団法人 全国がん患者団体連合会(全がん連) 理事。一般社団法人CSRプロジェクト代表理事。キャンサーソリューションズ代表取締役社長。技術士(建設部門)、社会福祉士、精神保健福祉士、産業カウンセラー。






小出 宗昭 様 膀胱がん患者様
<経歴>
中小企業や起業、地域おこしなどを支援するビジネスコンサルタントとして活躍。36歳で膀胱がんと診断され、再発を繰り返し、62歳のときに膀胱を全摘しストーマを造設。現在は仕事に完全復帰し、全国各地を飛び回っている。





【「がん征圧月間」とは?】
日本人の死亡原因第1位は「がん」です。がんによる死亡者は年々増加しています。毎年9月は「がん征圧月間」。月間中は、がん予防に対する意識啓発を目的として、がん征圧全国大会ほか、全国で様々な広報行事を開催し、適切な予防や早期発見、早期治療を呼びかけています。
参考サイト:https://www.gov-online.go.jp/data_room/calendar/202509/event-3596.html

▽フェリング・グローバル(以下「フェリング」)について
フェリングは、人々が家族を築き、より良い生活を送れるようになることを目標に掲げる、株式非公開の研究主導型スペシャリティファーマです。フェリングは生殖医療領域のリーダーであり、消化器領域および泌尿器領域において力強い存在感を示してきました。さらに泌尿器がん領域の先端技術の前線にいます。フェリングは、1950年設立であり、スイスのサンプレに本社を置き、世界100カ国以上で製品を販売し、約7,000名の従業員を擁しています。
▽フェリング・ファーマ株式会社について
フェリング・ファーマ株式会社はフェリングの子会社として2001年2月に設立され、本社は東京都港区です。
フェリング・ファーマは筋層非浸潤性膀胱がんや筋層浸潤膀胱がんの内容を含む患者さん向け情報サイト(https://boukougan.jp/)を運営しています。
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