天皇、皇后両陛下が福島県の避難所や被災地を視察された。いまだ生活の先行きが見えない被災者の大きな励ましとなったに違いない。
本県ご訪問は12年前に相馬市で開かれた全国豊かな海づくり大会以来だ。大会当日はテントが飛びそうなほどの強風が吹きつけた。それでも、お二人は笑みを絶やさずヒラメの稚魚などを放流し、本県の水産資源の豊かさをたたえられた。滞在中にご覧になった相馬野馬追や浪江町の施設、Jヴィレッジなど様相が大きく変わった。
大会直前に茨城県東海村で臨界事故が起きた。「海の環境が、海に注ぐ川や、川の源をなす森の環境と一体のものであることを心にとどめ、全ての関係者が協力して、その改善に努めていくよう願っています」。天皇陛下のお言葉の一節は、循環する自然は何か一つ欠けても成り立たないとの思いがにじんでいた。
今回のご視察で、両陛下は復旧作業への配慮から車を極力使わない日程を組まれたという。移動はヘリコプターを使用し、被災者と触れ合う時間を大切にされた。自然豊かな浜通りに戻ってほしい-との思いが、被災地に向けられた一つ一つの言葉やしぐさから伝わってくる。
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