東日本大震災アーカイブ

長沼の歴史資料保全へ 震災で水没文化庁事業に選定

藤沼湖の決壊で、被害を受けた市歴史民俗資料館の収蔵庫

 文化庁は須賀川市長沼地区に同庁や研究機関の職員を派遣し、東日本大震災による藤沼湖の決壊で水没した歴史資料の保全に乗り出す。14日までに、震災で被災した文化財を保全する同庁の「文化財レスキュー事業」に県内で初めて選ばれた。

 長沼地区では藤沼湖の近くにあった市歴史民俗資料館の収蔵庫が鉄砲水にのまれ、遺跡や発掘調査に関する図面・原図が水と泥をかぶるなど被害を受けた。大半が地元の歴史に深く関係するもので、被害は1000点以上に上る。泥を取り除いた物もあるが、大部分が手付かずの状態だ。

 震災後、市は被害状況を県を通して同庁に報告。同庁の担当者が現地調査した上で、今月初めに事業の対象に選定した。

 同庁や県、奈良県の国立文化財機構奈良文化財研究所の職員らが17日に地区に入り、資料を同研究所に運び出す。資料は特殊な装置で冷凍乾燥し、素材を傷めることなく元の状態に近づける。

 坂野順一市教育長は「須賀川の復興に光を当てる意味でも、事業に選ばれたことは大変ありがたい。地域の貴重な文化財を後世に伝えられるよう市としても努力したい」と話している。

 事業は被災した文化財の応急措置と保全に関わる人的支援を目的に東北地方を中心に始まった。本県は津波被害を受けた浜通りでの事業開始が検討されたが、東京電力福島第一原発事故の影響で開始が他県より遅れている。