東日本大震災

「3.11大震災・福島と原発」アーカイブ

  • Check

【攻防 電力マネー4】「箱もの」建設推進 代替財源見つからず

3月12日朝、富岡町の「学びの森」から避難する町民。施設整備には原発立地の交付金などが使われていた

 昭和50年代、富岡、楢葉両町に立地する東京電力福島第二原発の建設工事が本格化した。「公共施設の建設が続き、工事の音がやむことはなかった」。富岡町の元職員、白土正一(62)は振り返る。
 総合体育館、合宿センター、道路、学校、水道...。主な財源は電源三法交付金に代表される「電力マネー」だった。町の若手職員の一部は「施設を造れば補修費や維持費がかかる。20年、30年後の町づくりを考えるべきだ」と訴えた。だが、交付金で地域振興を目指す幹部は聞き入れなかった。

■抜け出せない
 富岡町には福島第二原発の3号機と4号機が立地した。建設が進むにつれ、町予算は電源三法交付金などで膨れ上がった。49年度に約13億円だった歳入は、8年後の57年度には4倍近い約46億円に達した。
 交付金の1つである「電源立地促進対策交付金」が町に入る期間は、発電所着工から運転開始後の5年間だけだった。使い道も公共施設や道路の建設などに限られた。町は交付期間の終了時期と使途をにらみながら「箱もの」建設を進めた。
 その後、原発関連の交付金は減少した。平成5年度は約1600万円とピーク時の昭和57年度の100分の1以下になった。
 だが、原発の運転期間中は継続的に配られる「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金」が設けられると、再び公共施設の建設が始まった。図書館や大ホールを備えた文化交流センター「学びの森」を整備した。白土は「交付金を公共施設の建設事業に使えば、地元の関係企業も潤う。交付金から抜け出せない構図ができていた」と指摘する。
 11月中旬、県議選に立候補した白土は、町民が避難している仮設住宅団地で訴えた。「原発、東電への依存体質を変えなくてはいけない」。当選はできなかったが、「大勢の人が演説に共感してくれたはず」と自負している。

■不満の背景
 「双葉郡の復興を実現できるものとは到底思えない」。双葉地方の町村会と町村議会議長会は12日、県と県議会に対する要望活動で、県の復興計画素案に不満を表明した。要望の柱の1つが、電源関係の交付金や核燃料税に代わる財源を見つけることだった。
 双葉郡の8町村には平成22年度、電源三法交付金の約60億円、核燃料税を財源にした交付金約13億円が入っていた。
 福島第一原発の1号機から4号機までは廃炉の方針が打ち出されている。残る5、6号機、福島第二原発1~4号機について、東電は結論を出していない。双葉地方の町村関係者は「県が復興計画に全基廃炉を掲げるならば、代わりの財源を示すことも必要ではないか」と語る。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

「3.11大震災・福島と原発」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧