東日本大震災で須賀川市の農業用ダム・藤沼湖が決壊し、甚大な被害が出たことを受け、県は平成24年度から5カ年計画で、農業用ダムが決壊した場合などの水害の範囲を示す「浸水想定区域図」を作る。県内に47カ所ある農業用ダムのうち、県が所有または管理する全14カ所が対象。それ以外の市町村や土地改良区が所有または管理するダムについても、それぞれ作成を促す。
浸水想定区域図はダムの決壊や豪雨による越水などを予想し、水害が及ぶ範囲を推定する。この地図を基にダムが所在する市町村に避難経路などを落とし込んだハザードマップ(被害予想地図)を作ってもらい、それぞれの防災計画に役立てる。震災以降、住民からハザードマップの作成を求める声が高まっていた。
農業用ダムは河川法で堤高が15メートル以上の施設。県は24年度に大笹生ダム(福島市)など8カ所の浸水想定区域図を作成する。残りは次年度以降、順次進め、警戒区域内にあるダムは状況を見て判断する。
市町村や土地改良区が所有または管理するダムは33カ所(藤沼湖は決壊)。既に千五沢ダム(石川町)は町が震災後にハザードマップを作成しており、犬神ダム(白河市)など3カ所は各自治体が24年度に着手する。
県によると、作成費用は1カ所当たり300万円程度。補助率50%の国の補助制度を活用する。市町村や土地改良区にも制度を活用した作成を促す。
県は市町村や水利組合が所有または管理する農業用ため池についても作成を働き掛ける。県内の約370カ所のうち、貯水量が10万トン以上で下流域に集落がある大規模ため池約120カ所を対象とする。
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藤沼湖は須賀川市の所有、江花川沿岸土地改良区の管理だが、復旧工事は県営事業として実施される見通し。費用は十数億円。激甚災害指定のため費用の9割は国の補助となる見込みだが、着工時期は未定だ。
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