東日本大震災アーカイブ

被災地にクローバー いわき勿来RC 復興願い来月種まき

クローバーを植栽する循環型復興支援の取り組みが始まるいわき市岩間町の被災地

 東日本大震災の大津波で壊滅的な被害を受けたいわき市岩間町で、更地などにシロツメグサ(クローバー)の種をまき、咲いた花から取れた蜂蜜の益金を被災地のために役立てる循環型復興支援が3月上旬にスタートする。種には「希望の支えに」との願いを込め、四つ葉のクローバーも入れる。

 雑草に覆われたままの被災地に心を痛めた地元のいわき勿来ロータリークラブ(RC)が「亡くなられた方々の鎮魂と震災の記憶を風化させないために」と、創立50周年記念事業の一環として取り組む。以前からミツバチを主体にした循環型まちづくりを進めているいわき勿来ミツバチプロジェクト、地場産蜂蜜を用いた製品開発を手掛けている磐城農業高などが協力する。

 初回の種まきは3月4日、これまでに了解が得られた住民の宅地合わせて約1000平方メートルで行う予定だ。土地が海水に浸ったため、順調に生育するかは不透明だが、通常なら6月末ごろからクローバーや花が出始めるという。

 欧米ではクローバーの花から取れた蜂蜜が一般的で、ミツバチプロジェクトも「量や味は期待できる。放射性物質の検査を十分に行い、安心安全なものを提供したい」と意気込む。

 自宅を流された岩間町の男性(68)は「高校生ら若い世代が参加してくれるため、とてもいいと思う。少しずつ広がってほしい」と話す。取り組みを主導する勿来RC環境保全小委員長の渡辺勉さん(58)=クリーンコールパワー研究所社長=は「奉仕の精神で、地域復興への願いを託す種をまきたい」と語り、同RC会長の赤津善宣さん(70)は「地域に支えられてきた団体として今こそ地域の絆を一層強めなければならない。会員や関係団体が一致結束して進めていく」と強調している。