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帰還へ「第一歩」 3市村避難区域再編

川内村の仮作業所で区域再編を喜ぶ西山さん夫妻

 「ふるさと帰還への第一歩だ」。東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の再編で、避難指示解除準備区域に移行する地域の住民は30日、仕事や帰宅へ思いを新たにした。「復興にも役立ちたい」と決意もにじませた。

■川内の西山さん 古里で畳作り再開
 川内村の畳職人西山利夫さん(70)の自宅兼作業場は警戒区域から避難指示解除準備区域になる。警察が検問所を設けている場所からわずか100メートルほどしか離れていない。検問所の手前から建物が見えた。「それでも帰れない。人には言えないつらい1年だった」と振り返る。
 22歳で畳職人になり、間もなく半世紀になる。震災後、仕事がなくなり、土木関係のアルバイトもした。「いつ仕事を再開できるのか...」と、不安な日々が続いた。
 今年1月の「帰村宣言」で状況が変わった。帰還に向け、村民から「自宅の畳を直せないか」と声が掛かるようになった。3月、村役場近くの空き家に仮作業場を設け、仕事を再開した。1年ぶりのイ草の感触に古里復興の足音を感じた。
 避難指示解除準備区域への再編に伴い、日中の出入りが可能になる。自宅の作業所でも仕事を始めるつもりだ。妻真子さん(58)と2人で暮らすいわき市の借り上げアパートから、片道1時間以上の「通勤生活」になるが、自宅での作業は疲れを忘れさせてくれると思っている。「畳作りを通して古里復興に少しは貢献できるかな」と笑顔を見せた。

■南相馬の松本さん 自宅修理する
 南相馬市原町区の仮設住宅に避難しているバス運転手松本孝さん(64)は「自宅が警戒区域でなくなったら、自宅をすぐにでも業者に修理してもらいたい」と、区域見直しを心待ちにしていた1人だ。自宅のある原町区江井は警戒区域から避難指示解除準備区域になり、立ち入りが自由になる。
 一時帰宅の際に確認した自宅は、地震で屋根が壊れて雨漏りしていた。家中にカビも生えていた。除染も終了しておらず、すぐに住める状態ではないという。それでも「庭の草刈りができるだけでも一歩前進」と前を向いた。

■田村の坪井さん 墓参りできる
 警戒区域の全域が避難指示解除準備区域になる田村市都路町の主婦坪井スイさん(63)は「ようやく墓参りができる」と喜ぶ。
 同市船引町の仮設住宅で夫と三男夫婦、孫2人と暮らす。昨年から5回程度、一時帰宅したが、限られた時間内では自宅の様子を確認するのがやっとだった。同じ集落内にある墓地までは手が回らず、震災後は1度も墓参りできずにいた。
 1日は夫や息子と一緒に自宅を訪れる予定だ。「寝泊まりできなくても、家やお墓の片付けができる」と楽しみにしている。

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