東日本大震災アーカイブ

高速無料、対象IC拡大へ 「勧奨地点」住民も追加

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難者を対象にした高速道路の無料化で、国土交通省は県内で利用できるインターチェンジ(IC)を今月の大型連休前にも拡大する方針を固めた。避難者支援策として特定避難勧奨地点の住民も新たに無料化する方向で調整している。16日に郡山市で開かれた第3回民主党と党県連の合同会議で示した。
 現在、県内で高速道の無料化措置となるICは東北、磐越、常磐の3自動車道の15カ所で、同所を入り口、出口に利用した場合に無料になる。対象は避難区域周辺の中・浜通りのICに限られ、大熊町など相双地方からの避難者が多い会津地方は含まれていないことから、自治体や住民の要望を踏まえて、同省は対象ICを増やす方針だ。
 避難区域同様に原発事故の影響が大きい特定避難勧奨地点の住民も支援するため、無料化措置の適用を検討している。伊達市の117地点128世帯、南相馬市の142地点155世帯、川内村の1地点1世帯が対象。
 役場機能を会津若松市に移している大熊町の渡辺利綱町長は「(会津若松市内だけで3000人以上の町民が生活するなど)町民は各地に避難しており、一日も早くやってもらわないと困ると思っていた」と歓迎する。
 一方、特定避難勧奨地点を抱える伊達市の仁志田昇司市長は「大変結構なことではあるが、対象世帯だけでは困る。賠償などでも対象世帯とそれ以外に格差があり、コミュニティー崩壊の恐れがある。地域全域を対象にしてもらいたい」と求める。
 県避難地域復興局は「避難者の利便性向上という意味では国交省の方針を歓迎するが、復興、観光の支援としては全車種の無料化が望ましい」とした。
 国交省は復興支援として東北地方の高速道を無料開放していたが、今年3月末で終了。原発事故の避難者に限り4月1日から9月末まで無料化を継続している。
 会議には本県関係国会議員、県議をはじめ、党東日本大震災対策本部福島県対策室の国会議員、各省庁の代表ら約150人が出席した。