東日本大震災アーカイブ

国の全面支援強調 細野環境相が県民健康管理調査で

中間貯蔵施設についての考えを説明する細野氏(右)

 細野豪志環境相兼原発事故担当相は16日、県の県民健康管理調査に国が直接関与し、長期的な健康管理を全面支援する考えを示した。同日、福島市の福島医大を視察後、取材に答えた。県の調査検討委員会に同省も正式メンバーとして参加したい意向で、「福島の健康問題は政府の最優先課題」と強調した。
 調査検討委員会は、座長の山下俊一福島医大副学長ら医大や県などの関係者ら8人で構成している。同省はこれまでオブザーバーとして参加していた。細野氏は「健康管理調査は長く継続しなくてはいけない。国と県がしっかり連携して(実際に調査している)医大をサポートする体制をつくる。県と調整し実現したい」と語った。
 具体的な連携の在り方については「これからの福島県民の健康を考える場合、国際機関との連携が大事」と指摘。国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)などに国が主体となって協力を求める考えを示した。
 福島復興再生特別措置法には県民健康管理調査への財政支援が盛り込まれ、近く与野党協議が始まる原子力規制庁設置法案では、同庁が健康管理の中心的役割を担うとしている。これを踏まえ国の財政支援については「環境省が責任を果たすことになる」と述べ、国の責任で財源を担保する考えをあらためて強調した。
 県健康管理調査室は、「県民が置かれている状況を一歩でも前進させるために連携は重要」としている。
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 細野氏は、所管が各省にまたがっている空間、土壌線量データを統合的に活用して健康管理に役立てる仕組みを検討する考えも示した。「県民の不安を取り除くにはデータの互換性が大事。改善すべきは改善したい」とした。
 浪江町が独自に放射線健康管理手帳を発行し、医療費無料化など原爆の被爆者手帳と同様の措置を国に求める方針を打ち出したことについては、「まずはやれることを一歩一歩やることではないか」と述べるにとどめた。
 細野氏は菊地臣一理事長兼学長ら医大幹部と懇談したほか、学内の放射線医学県民健康管理センターや除染室を訪れ、健康管理調査に携わるスタッフを激励した。