東日本大震災アーカイブ

細野環境相が難色 大熊の全域「帰還困難」指定

 避難区域を抱える8町村は、住民に対する賠償問題も絡み、再編に向けた協議事態が難航している。
 大熊町は放射線量に応じて区域を再編した場合、全町民の95%が帰還困難区域に含まれる見通しで、渡辺利綱町長は賠償で差が生じないよう全域を一律に帰還困難区域に指定するよう求めてきた。
 16日には大熊町議会の全員協議会が会津若松市で開かれ、出席した細野豪志環境相兼原発事故担当相は終了後、同町だけを例外的に扱うことは困難との認識を示した。これに対し、千葉幸生議長は記者団に、「データで分類するのではなく、町民目線で区域見直しをしてもらわないと困る」と強調。渡辺町長は「(全域の帰還困難区域化を)引き続き国に求める」との姿勢を示した。再編をめぐる町と国との協議は着地点を見いだせない状況となっている。
 楢葉、富岡、双葉、浪江、葛尾、川俣、飯舘の各町村の区域再編の行方も不透明だ。このうち、富岡町は町民に対し一律の賠償が実現しない限り、区域再編に応じないことを決めた。双葉町は最も放射線量の高い地域に合わせて全域を統一的に扱うよう求め、浪江町は双葉郡全体の復興像を示すことが先決と主張している。