県は、県内への企業立地や新増設を支援する「ふくしま産業復興企業立地補助金」の対象として、申請のあった299件のうち、緊急性が高いと判断した167件を採択し、9件を不採択とした。約4割に当たる123件は予算不足で保留となった。採択分の補助総額も予算枠の1600億円を超過しており、投資額10億円以上の41件は補助額の20%分の支出を先延ばしする。県は保留分と合わせて国に予算の増額を求めているが、追加配分があるかは不透明だ。
11日開かれた県企業誘致・立地企業振興対策本部会議で県が示した。採択された企業のうち、県外からの新規参入が9件、東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域が解除された南相馬、広野、川内3市町村への新増設が7件。残る151件は中通り、浜通り、会津地方の全域にわたる。
県は避難区域が解除された地域に限定した2次募集を6月下旬から7月下旬にかけて実施するため、1600億円の予算枠から100億円を確保した。このため、今回の実際の補助金支出額は1500億円となる。
一方、採択された167件分の補助金総額(申請ベース)は1740億円で、240億円不足している計算だ。保留した123件分の830億円を合わせると、不足額は1070億円に上っている。
県は地域貢献や投資の効率性などを考慮し、優先順位を付けて採択。保留となった123件は予算不足で採択を見送らざるを得なかった。さらに、できるだけ多くの企業を採択するため、投資額が10億円以上の41件については補助額の20%分の支出を留保することにした。県は「苦渋の判断」とし、同日、保留となった事業所と補助金の支出を先延ばしする事業所に対して理解を求める文書を送付した。
今回の採択で約2700人の新規雇用が見込まれるが、県の関係者は「復興に向けた目玉事業だが、予算規模の割にはまだ足りない」と物足りなさを口にする。保留分を含めると雇用規模は約4100人となる。県は「県内進出を目指す企業の熱い思いを国に伝えて追加配分を確保したい」としている。ただ、既に1600億円という破格の予算を付けた国からさらに増額が見込めるかどうか先行きが見えない。
県は第一期申請を1月30日から3月末まで受け付けた。平成26年度までに3期に分けて申請を受け付ける予定だが、予算確保のめどが立っておらず、次回の申請開始時期は未定。
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