全町警戒区域となっている大熊町の住民に対する政府の説明会は12日、郡山市の郡山ユラックス熱海で開かれ、細野豪志環境相兼原発事故担当相らが中間貯蔵施設や除染、避難区域見直し、賠償に関する現状などを説明し、理解を求めた。政府による開催は双葉郡八町村で初めて。出席した住民からは「これからどこに古里を求めればいいのか」などと怒号が飛び交う場面もあった。国は釈明に終始した。
同市内に避難している大熊町民ら約220人が参加した。各省庁ごとの説明に続き行われた質疑応答では、中間貯蔵施設について「われわれに説明なくなぜ大熊を候補地にしたのか」「廃棄物の輸送路沿いの線量が上がる」などと反発の声が相次いだ。
避難区域の見直しに伴う賠償の在り方についても不満が噴出。参加者は「年に2、3回しか古里に帰れないわれわれが月10万円の賠償とは納得いかない」「賠償が進んでいない。東電任せにせず、国が責任を持て」と語気を強めた。避難区域見直しや除染をめぐっては「帰れるとは思っていない」との声も少なくなかった。
一方、渡辺利綱町長は説明会について「直接、国の考えを聞くのは有意義だった」と評価した。その上で「賠償のもっと具体的な数字や除染のロードマップについてはっきりした回答が得られれば良かった。もっとスピード感を持っていろんな声に応えてほしい」と注文した。
政府側からは細野氏、吉田泉復興政務官(衆院本県5区)、関係省庁の担当者らが出席した。冒頭、細野氏は「1年余りに積もりに積もった思いをぜひ聞かせてほしい」あいさつした。
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