東日本大震災アーカイブ

犠牲の住民安らかに 原町区北萱浜行政区 慰霊碑建立し祈り

建立した慰霊碑に祈りをささげる佐藤宮司

 東日本大震災の津波と東京電力福島第一原発事故による避難などで53人が犠牲になった南相馬市原町区の北萱浜行政区で13日、慰霊祭が営まれた。
 地区内の稲荷神社に住民約150人が参列した。境内には犠牲者の名前を刻んだ高さ180センチ、幅130センチの慰霊碑が建立された。同神社を管理する相馬太田神社の佐藤左内宮司が慰霊の言葉を奏上し、遺族らが祭壇に玉串をささげた。林一重行政区長が「残された住民はできることをして、一歩ずつ再出発の道を歩みだす」と誓った。
 両親と長女を津波で亡くした植村光明さん(39)は「時間は過ぎても、気持ちはあまり変わらない」と家族を失った悲しみを語った。
 植村さんの自宅は津波で流された。市内の借り上げ住宅には父光夫さん(62)、母慶子さん(60)、長女葵さん(17)の遺骨があり、花を絶やさず、毎日線香を上げて手を合わせている。「最初はどんな顔をしてみんなに会えばいいのか分からなかった。それでも、現実を受け止めていかなければ」と話していた。