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今を生きる 歌で避難者に元気 「みんなも頑張って」 夢見たプロ...熱い思い

仮設住宅を訪問し、歌声を披露する青木さん(右)と母の勝子さん

■脳に障害、リハビリに励む いわきの青木淳也さん31
 「歌は生きがい。自分も(リハビリを)頑張るから、みんなも頑張ってほしい」-。脳に障害がありながらも懸命にリハビリを続けるいわき市金山町の青木淳也さん(31)は今年4月から月1回、双葉町民が避難生活を送る市内・南台仮設住宅で歌っている。力強く澄んだ歌声は、避難者に元気を与えている。
 青木さんは芸能人になることを夢見て高校卒業後、上京した。芸能プロダクションに所属し、モデルや俳優、歌に取り組んだ。27歳でオリジナル曲入りの初CDを出した直後、猛烈な頭痛に襲われた。緊急手術の末、意識は回復したが、記憶や体を動かすことが困難になる高次脳機能障害が残った。診断は脳動静脈奇形による脳室内出血と急性水頭症だった。
 その後、リハビリに励み、車椅子を使い食事は自分でできるまでに回復した。「人前で歌いたい」。発病後、地域のアマチュアバンドから誘われ、市内の施設で歌い始めたころ、東日本大震災が発生した。
 震災から1年が過ぎ、避難者に歌を届けたいとの思いが募った。母の勝子さん(54)と一緒に南台仮設住宅を訪ねることにした。お年寄りが多く生活していることから演歌をレパートリーに加えた。何度も聞き、口ずさみ歌詞を覚えたという。
 18日は2回目の「コンサート」に当たり、約30人の前で歌った。オリジナルや発病後に歌詞を書いた曲の他、美空ひばり、氷川きよしさんらの歌を取り上げた。
 「(聞いてもらえて)うれしい」「歌が大好き」。被災者を前に語る青木さん自身、熱い思いを心の中でかみしめている。最後は「川の流れのように」をみんなで歌った。鳴りやまない拍手、涙を浮かべるお年寄りの姿を見て「また来ます」と答えた。
 ステージの合間には勝子さんが生い立ちやリハビリの様子を伝えた。発表を重ねるごとに姿勢が良くなり、記憶力も良くなっているという。「歌っているときの表情が一番生き生きしている。息子も被災地も、1日も早く元の姿に戻ってほしい」と話している。

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