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【川俣・無防備の戸惑い10】114号整備 舗装を優先 急カーブ、坂道が残る

川俣町の114号国道小綱木トンネルの貫通を祝い、鏡開きに臨む関係者。右は古川町長=3月4日

 川俣町長の古川道郎(67)ら町や県の関係者が木づちを振った。薄暗いトンネルの中に鏡開きの音と拍手が響く。
 東日本大震災から1年を目前にした3月4日。町内の小綱木(こつなぎ)地区にある114号国道「小綱木トンネル」(646メートル)の貫通式だった。
 トンネルは、町中心部と、計画的避難区域に指定されている山木屋地区の中間にある。小綱木バイパス計画(延長2.6キロ)の重要箇所の1つだった。
 114号国道は福島市と浪江町を結ぶ延長約69キロ。「福浪線」とも呼ばれ、長年にわたり、拡幅や舗装、バイパスやトンネルの建設などで手を加えてきた。
 小綱木バイパスの工事は平成13年度に始まった。狭い道幅や急カーブ、急な坂道が残り、冬季は積雪や凍結によるスリップ事故が懸念されてきた。現在の道路が通る小綱木地区の一部を迂回(うかい)してトンネルを通し、24年度中に一部区間(約1.5キロ)の供用を見込む。

■3桁国道
 114号国道は震災や東京電力福島第一原発事故の直後、浜通りから避難する車両が集中し、各地で激しい渋滞が起きた。
 「"三桁国道"の中でも番号は早いのに、整備は遅れているというのが道路整備に当たる関係者の共通認識だった」と元県土木部幹部は語る。
 県内を通る国道のうち、「一桁」と「二桁」の4号、6号、13号、49号は国の直轄事業として整備する。
 「三桁国道」は正式には「県知事管理国道」と呼ばれる。県内には114号のほか、115号、288号、289号、399号などがある。「三桁国道」は、国直轄で行う区間を除き、県が整備することを基本としている。
 114号国道は昭和28年に二級国道福島浪江線として指定された。このころ、県内の道路は砂利道が主体で、舗装は少なかった。しかも、現在のアスファルトではなく、コンクリートによる舗装が中心だった。
 「福島県土木史」(県土木部監修、県建設技術協会発行)に残された35年4月1日現在の舗装状況によると、舗装率は4号国道が51.2%だった。三桁国道は、118号国道の7.2%、115号国道の6.2%に対して、114号国道は0%だった。

■道路知事
 39年、知事に就任した木村守江は、道路政策に力を入れた。「木村知事は、"道路知事"の異名をとるほど道路整備に執念を燃やした」。県土木史は、そう記す。
 木村は県勢振興計画を作り、高度経済成長期の道路政策を掲げた。39年から43年度まで一級と、二級の各国道の全面改修など道路整備を重点とする所信を県議会で表明した。「114号国道の福島-川俣間の舗装を3年で完成させてほしい」。木村は土木部に伝えた。
 川俣町の元建設会社社長は114号国道の工事に長く携わった。「知事がいわき市四倉出身で、県庁がある福島市まで通う道路だから舗装のスピードが速いんだ、と地元では語られた。"木村道路"ともてはやされた」と思い出す。
 県土木史には「114号線(福島~浪江)の舗装は45年度で完成」と記述されている。木村が知事に就任して5年余りという驚異的なスピードだった。
 舗装は急いで進められたが、急カーブや急な坂道は依然として、所々に残っていた。川俣町や浪江町をはじめ、沿線の市町村は114号国道の整備を強く求め続けた。(文中敬称略)

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