日本、中国、韓国が観光交流の課題解決を協議する日中韓観光担当相会合が今秋、本県で開催される。海外の大臣級会議の県内開催は東日本大震災後初めて。観光担当相が観光活性化に向けた共同声明をまとめるほか、国際観光フォーラムなどを開く。本県では東京電力福島第一原発事故の風評被害が続いており、政府は本県の安全性を発信するとともに共同声明に具体的解決策を盛り込みたい意向だ。
2日に下郷町で開かれた町観光協会主催の観光復興講演会などで、室井邦彦国土交通政務官(参院比例)と井手憲文観光庁長官が明らかにした。
会合は平成18年度から日中韓各国が毎年持ち回りで開催しており、国内での開催は3回目。
原発事故により世界の注目を集めている本県で大臣級の国際会合を開き、福島の現状を発信することで、風評被害解消につなげる。海外観光客を日本に呼び戻すだけでなく、国内各地から本県への観光誘客促進を目指す。
これまでの会合でまとめた共同声明には、3カ国の交流人口を5年間で500万人増やすなど具体的な目標と施策が定められている。
観光庁は震災後から運休している福島空港の国際定期路線の運航再開や、中韓両国による本県への渡航制限の解除、交流促進のためのプログラムづくりをはじめ、放射線量に関する正しい情報を各国で周知することなどを明記するよう求める考えだ。
共同声明に具体策を盛り込むためには、日中韓観光担当相会合が開催される秋までに両国の理解をどれだけ深められるかがポイントとなる。
具体的な開催地は県内13市のいずれかを想定している。参加人数の規模や国際会議に対応できる施設の有無などを踏まえ、観光庁が県などと調整する。
会合には担当大臣のほか、各国の観光団体など関係者数100人が参加する。それぞれの国が抱える観光振興の課題について意見を交わすフォーラムのほか、自然や農産物、温泉など本県の魅力を知ってもらうモニターツアーの実施を検討している。各国の食や名産品などを一堂に集める物産展も想定している。
室井政務官は観光団体の代表者らに「福島の現状を海外に伝える好機として、しっかりアピールしてほしい」と呼び掛けた。
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