■お笑いコンビ「母心」 嶋川最終回さん33 関あつしさん32
福島市を拠点に活動するお笑いコンビ「母心」の嶋川最終回さん(33)と関あつしさん(32)は、19日に東京都の国立演芸場で開かれる漫才新人大賞に出場する。全国的に活躍する「ナイツ」や「Wコロン」などを輩出した漫才の登竜門だ。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で傷ついた県民に笑顔を届けようと芸を磨き、予選を突破した。2人は本番に意欲をみなぎらせている。
漫才新人大賞は漫才協会の主催で11回目。ナイツが大賞に輝いたほか、Wコロンが優秀賞や特別賞を受けている。母心は今年2月から同協会に所属しており、約20組で争った協会予選を勝ち抜き、本選出場を決めた。約110組による協会外予選通過者も含め、本選には12組が出場する。
2人はお笑いエンターテインメント集団「みちのくボンガーズ」のメンバーとして、県民にはすっかりおなじみだ。嶋川さんは富山県高岡市出身、関さんは茨城県日立市出身で、もともと本県にゆかりはない。しかし、芸人として育ててくれたのは紛れもなく福島の人々。「今こそ福島発の売れっ子芸人になり、みんなに恩返ししよう」。協会に入ったのも、漫才新人大賞に挑戦したのも、そうした思いが震災後に強まったからだ。
本選は本県の今を満載した得意の「地方自治ネタ」で挑む予定。司会の爆笑問題、審査員のナイツらにどう受け止められるか、楽しみだという。
福島の復興はまだまだこれから。関さんは「被災地の現状を知らない人は多い。福島の芸人としてどこまで伝えられるか、挑戦したい」と意気込む。嶋川さんは「全ては福島のために」と誓っている。笑いが県民の大きな力になると2人は信じている。
(カテゴリー:連載・今を生きる)