東日本大震災アーカイブ

気立て良い店主 母の仕事手伝う

■南相馬市鹿島区南右田 鎌田哲子さん =当時76= 深敏さん =当時27=
 哲子さんは、海岸から1・6キロ離れた自宅から避難しようとした際、津波にのまれた。哲子さんの長女で、孫深敏さんの母光子さん(53)も流されたが、奇跡的に助かった。
 哲子さんは長年、酒、たばこ、食品を扱う店を営んできた。買い物客を茶の間に上げ、話し込むなど気立ての良さから多くの人に親しまれた。花の栽培やカラオケが趣味だった。かつてバラやボタンなどに彩られた庭の跡-。残された家族は、今も不明の哲子さんが好きだった美空ひばりさんの歌を流しながら花の苗を植えている。
 深敏さんは光子さんを手伝い、田畑の仕事をしていた。パソコンに詳しく、家族に教えることもあった。大津波警報の中、近所の親戚の様子を見に行き、戻る途中で被災、3月18日に見つかった。

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