東日本大震災アーカイブ

責任感強い店長 家庭で花育てる

■いわき市久之浜町金ケ沢 北郷正明さん =当時47= 澄子さん =当時71=
 広野町のショッピングセンターアイアイの店長を務めていた正明さんは妻和可子さん(51)ら社員を高台にある広野小に避難させた後、母澄子さんがいる自宅に向かった。「俺ちょっと家が気になるから行ってくる」。それが和可子さんとの最後の会話になった。
 正明さんは1カ月半後の4月26日、自宅近くの浜で見つかった。澄子さんは震災の翌日、自宅前の田んぼで発見された。
 正明さんは花見などのイベントを率先して企画するなど、周囲のまとめ役だった。澄子さんは花を愛し、庭でボタンやチューリップなどを育てていた。
 今は自宅のあった場所にスギの木が1本残る。月命日に和可子さんら家族が訪れ、ビールや花を手向けて冥福を祈っている。

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