東日本大震災

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農産物賠償で基準価格設定へ 支払い円滑化目指す

 政府、東京電力は、福島第一原発事故の風評被害による農産物の賠償に関し、基準価格を設定した上で価格が下落した分を補填(ほてん)する新たな基準を検討している。23日、平野達男復興相が福島市で記者団の取材に明らかにした。現在は農家ごとに震災前3年間の売上額を基に算定しているが、手続きが遅れ、賠償金支払いが滞っている。基準額を設けることで支払いを円滑化につなげる。
 平野氏は記者団の取材に、「農産物の風評被害は長期化する傾向がある。営農を継続できるような所得はしっかり確保したい」と強調。その上で「ある一定の予定価格で売れないと分かったら賠償はこうなる、ということも一つの方法として(東電に)要望した。(東電からは)そういった方向で検討するとの返事をもらっている」として、農林水産省と詰めの協議を進めていることを明かした。
 基準については「品目ごとに設定する可能性もある」と述べた。本県基幹作物であるコメが対象となるかは現段階では不透明。県内一律の設定とするか、地域ごとにするかも課題になるとみられる。
 農産物の賠償をめぐっては、各農家が事故前の平成20、21、22年の作物1キロ当たりの売上額を年ごとに算定。そのうち一番高い額を基準としている。昨年8月までに請求した分は全額支払われたが、9~11月請求分については請求額の約9割、12月~今年2月分は約5割にとどまっている。
 伊達市でモモやカキなどを生産している清野政孝さん(64)は現在、受け取っている賠償金は請求額の半分程度という。「肥料や農薬購入の資金にしたいので早く支払ってほしい」と不満を漏らす。
 ただし、この方式だと、農作物の品質の差にかかわらず単価が統一される。JA関係者は「少しでも生産物の価値を上げようと努力している農家にとっては、逆に生産意欲を低下させかねない」と指摘した。
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 平野氏は出荷制限対象外の魚介類についても、風評被害の賠償基準を設ける方針を示した。出荷制限となった魚介類は賠償対象となっている。それ以外で水揚げされ、市場に出回った分の風評被害による損害については、賠償基準が明確になっていなかった。

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