東日本大震災アーカイブ

大熊町民「戻らない」4割 1年前に比べ4倍に

アンケートの中間報告を説明する渡辺町長

 大熊町は2日、町民の帰還意向などに関するアンケートの中間結果速報を公表した。「町には戻らない」と答えた人が4割に達し、1年前に比べて4倍以上に増えた。「町に帰れるまで待つ」と答えた人も4割近くいたが、待つことができる期間は「5年以内」を挙げる人が最も多く、渡辺利綱町長は「スピード感を持って復興に当たりたい」としている。
 調査は中学生以上の全町民1万25人を対象に5月から6月にかけて行い、6,481人が回答、回収率は64・6%だった。
 「戻らない」と答えた人は40・4%。依然高い放射線への不安、医療機関などが整わないこと、家屋が住める状況でないことなどが理由としている。昨年6月に町が行ったアンケートで「戻らない」と回答したのは9・0%だった。また福島大が9~10月に行った実態調査では32・1%が「戻らない」と答えており、時間の経過とともに増える傾向にあるという。
 「帰還を待つ」とした人のうち「町指定地で待つ」とした人は21・9%、「自ら選んだ居住地で待つ」とした人は18・0%で合わせて39・9%だった。待てる期間を「5年以内」とした人は37・5%。一方で「いつまででも待つ」とした人が17・6%だった。
 復興拠点の町指定地(仮の町)の最適地としては、いわき市周辺を挙げる人が71・5%を占めた。帰ってもよいと思える年間積算線量は40・9%が「1ミリシーベルト以下」とした。
 調査結果は今月中に最終取りまとめを行い、今秋にも策定する第一次復興計画に反映させる。意向の変化も予想されることから、今後もアンケートを行う。
 町は賠償額に差が生じないよう避難区域再編後も最低5年間は戻らない「帰還しない宣言」を今月中にも議会に諮る方針。一方で早期の帰還開始を目指して比較的線量の低い地域の除染や拠点整備を進める考えだ。