東京電力福島第一原発事故に伴う避難自治体の「仮の町」構想の実現に向け、復興庁は17日、葛尾村民の意向調査を県と村と共同で実施すると正式に発表した。調査は双葉郡8町村など避難区域が設定された12市町村を対象としており、今回が第一弾。9月中に調査結果をまとめ公表する。調査結果は「仮の町」の規模、必要な機能などを決める上での基礎資料とする。国と地元自治体による意向調査は初めて。
葛尾村の対象は中学生を除く満15歳以上の約1400人。質問はアンケート方式で、全40項目からなる。帰村の希望や時期、条件、行政への要望、農林畜産業の再開の意思、政府が優先的に取り組むべき課題、避難先の居住形態、雇用状況、医療や介護で困っていることなどを聞く。
調査表は17日に郵送で発送した。9月3日までに提出してもらう。
「仮の町」は、長期間にわたり帰還が難しい避難自治体が別の自治体に役場や学校、災害公営住宅を集約させ、コミュニティーの維持を図るのが目的。調査結果を基に「仮の町」への移住を希望する人の数、整備する規模などを把握する。長期避難の生活実態や就業状況も調べ、雇用対策や避難者支援に生かす。
復興庁は同村以外に、これまでに避難区域が設定された県内11市町村と調査の実施に向けて調整しており、9月上旬には大熊町、10月に楢葉、富岡両町、11月に浪江、双葉両町で実施する予定だ。
南相馬、広野、川内の3市町村は独自の調査に既に着手しているか、実施予定という。
【尾村住民意向調査票の主な質問項目】
◆震災発生時、震災前の状況
・震災発生時の居住場所
・当時の職業(就業形態)
・通勤・通学地域と移動手段
・買い物していた場所と移動手段
・行事や催しへの参加状況
◆現時点の状況
・避難先の自治体名
・住居種別
・現在の職業(就業形態)
・震災発生時と同じ職業か
・職を探していない理由
・避難生活で困ること
・医療サービスで困ること
・介護・福祉サービスで困ること
・教育(学校)で困ること
・就労で困ること
・地域コミュニティーで困ること
◆将来について
・避難解除までどこで生活したいか
・避難期間中に転居予定はあるか
・避難解除になれば村に戻るか
・帰村後に村で必要なものは何か
・帰村後に行政に望む支援
・帰村する条件
・何年以内に村に戻りたいか
・2地域居住(週の数日を村で生活)する場合、理由は何か
・村で事業を再開したいか
・事業再開の課題
・帰村しない理由
・帰村しない場合の生活拠点
◆震災発生時の世帯・家族の状況
・世帯構成
・住宅の所有形態、建て方
◆現時点の世帯家族の状況
・世帯でまとまって避難しているか
・世帯のうち、同居している人数
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