東日本大震災アーカイブ

今を生きる 消防士たすきつなぐ いわきから中、浜通りへ

たすきを掛けて走る鈴木さん(左端)ら消防士

■復興願う全国リレー本県入り
 消防士が1本のたすきをつなぎ震災復興を願うリレーが、鹿児島県から宮城県まで続けられている。リレーは17日に本県入りし、いわき市の消防士がたすきを掛けて市内の勿来の関入り口から内郷消防署までの約25キロを5区間に分けて走った。本県で最初にたすきを受けた勿来消防署消防士長の鈴木秀典さん(33)は「たすきからパワーを感じた。消防業務や復興への取り組みの励みにしたい」と全国の消防士の汗が染み込んだたすきに誓った。
 たすきリレーは、福岡県などの消防職員が企画した。震災から1年に当たる3月11日に鹿児島市をスタートし、震災で行方不明の消防士がいる宮城県石巻市への9月11日ゴールを目指している。賛同した19都府県の消防士や警察官が非番や休日など私的な時間を利用して参加しており、数人で数キロずつの各区間を担当し、総距離2000キロ以上をリレーしている。本県では約300人が参加する予定だ。
 本県のスタート地点となった、いわき市の勿来の関入り口。6号国道を走る北茨城市の消防職員の姿が見えると、鈴木さんら勿来消防署と市消防本部職員の7人が「行くぞ」と気合を入れた。北茨城市消防本部消防司令補の沼田純一さん(41)から鈴木さんにたすきが渡り、記念写真などを撮影後、7人は出発した。
 夏の日差しと太平洋からの爽やかな風を受けながら7人は、掛け声に合わせて疾走した。沿道や車から手を振る人もいた。勿来消防署までの4・9キロを約35分で駆け終えると、待ち受けた小名浜消防署消防司令補の関根達也さん(41)につないだ。走り終えた消防士たちは「私たちの走りが復興につながってほしい」と話した。
 リレーは今後、いわきから平田、白河、郡山、福島など中、浜通りの市町村を通り、30日に国見町で宮城県の消防士に引き継ぐ予定。20日のいわき市から平田村までの区間では、双葉地方広域市町村圏組合消防本部の職員も参加する。
 本県や宮城県以外の消防署員は参加費を寄せており、義援金として後日、本県、宮城、岩手県の各災害対策本部に届けられる。

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沼田さんからたすきを引き継ぐ鈴木さん(前列左から2人目