予算不足に陥っている「ふくしま産業復興企業立地補助金」の123件の採択保留案件のうち新たに2件が、補助申請を取り下げていたことが31日、分かった。
申請辞退は計3件となり、県は産業復興の減速を懸念している。
辞退した2件は、県内に本社機能を置く製造業者と、県外を拠点に生産活動を行っている製造業者がそれぞれ補助申請していた。採択を待たず、自社の財務状況の可能な範囲で投資することに方針転換したという。
同補助金をめぐっては、県外に本社、県内に事業所を持つ製造業者1社が申請を辞退したことが既に分かっている。3件合わせた投資総額は18億5000万円で、補助金総額は12億3000万円に上るという。
■地域限定の案受け入れは困難 経産省に県回答
経済産業省から、津波被害地域や警戒区域を対象にした新たな企業立地補助制度を平成25年度に新設することについて意向確認を受けた県は31日、同省に「地域限定の案を受け入れることは困難」と文書で回答した。引き続き、採択保留案件が発生した「ふくしま産業復興企業立地補助金」の予算増額を求めていく。
「原発災害で県人口の8%以上の16万人が県内外に避難するなど、被害は全県に及んでいる」として、制度を設ける場合には県内全域を対象にすべきだと指摘している。
経産省は今年度、申請を受け付けた「ふくしま立地補助金」で採択保留が発生した事態を念頭に、本県などの沿岸部に絞った新制度の創設を検討してきた。予算不足が発生している現行制度の「代替策」とみられ県関係者は「補助金増額を先に実現してほしい。地域限定の案では効果が限られる」と反発している。
一方、県は経産省に「ふくしま立地補助金」の第一期採択分の167件について圧縮可能な補助額は36億円程度になるとする見通しも伝えた。
補助金の目的である産業振興に直結しない工場の移設費、消耗品、備品購入費を補助対象とすれば捻出可能だという。
(カテゴリー:福島第一原発事故)