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今を生きる 津島の梅酒 希望の香り 震災前年に収穫2年間熟成 瓶詰めし発売

再び商品化した津島の梅酒を手にする(左から)馬場さん、橋本さん、三瓶さん

■浪江の中山間地域等直接支払事業地区協
 馬場績さん 68(二本松) 三瓶宝次さん 76(福島)
 梅林に昇る朝日と、たわわに実る梅の実をあしらったラベルを貼った梅酒「郷(ごう)」が発売された。原料には東京電力福島第一原発事故により計画的避難区域になった浪江町津島地区で震災の前年に収穫した実が使われている。地域を挙げた「梅の里づくり」に携わってきた馬場績さん(68)=二本松市=と三瓶宝次さん(76)=福島市=は「日の目を見て良かった」と笑顔を見せた。

 地域振興を目的に13集落の約200人で結成された中山間地域等直接支払事業津島地区協議会は、平成17年から梅の木1200本を地区内に植樹し、産地化を目指した。
 共に町議を務める馬場さんと三瓶さんは、新・旧会長として率先して活動に取り組んだ。22年には収穫した実を使った梅酒の製造を郡山市の笹の川酒造に委託し、初めて商品化した。町内の酒店で販売し、好評を得た。
 徐々に生産量が増え、本格的な販売を考えていた矢先に原発事故が起きた。「仲間と一緒に梅の木の消毒を終えたばかりだった。まさか津島地区が放射線の高線量地域になるとは...」。馬場さんと三瓶さんは無念さを隠さない。
 厳しい避難生活の中で、仕込んでおいた梅酒のことを思い出したのは震災後1年余りたってからだった。「これが最後になるかもしれないが、古里の味と香りを、みんなに知ってもらおう」。酒蔵で2年間熟成させていた梅酒を瓶詰めした。
 720ミリリットル入りで、アルコール度27度の原酒300本、同14度の梅酒200本を郡山市のうすい百貨店で販売している。
 二本松市に避難し、障害者の就労支援をしているNPO法人コーヒータイム理事長の橋本由利子さん(59)の発案で「ふるさとなみえ」のマグネットも付けた。3人は「希望を捨てず、つながっていこうとの思いが届けば」とメッセージを送っている。
   ◇    ◇
 価格は税込みで原酒が1529円、梅酒が1210円。セット価格は箱代を含め3000円。

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