政府は避難自治体の町外コミュニティー構想について、今年度中にも整備方針をまとめる。整備方式や必要な機能を盛り込む。8月19日に福島市で開かれた国と県、双葉郡8町村の意見交換会で初めて工程表を示した。
復興庁による住民意向調査の結果などを踏まえ、生活拠点の確保や整備方針などの具体的な検討に入る。避難期間や世帯数を想定し、町外コミュニティーを整備する場所、一括移転や分散移転などの整備方式を検討する。公営住宅の整備、役場機能の在り方、医療・福祉や教育など必要な機能を取りまとめる。
受け入れ側の自治体と整備方式や用地確保、行政機能などの調整を進め、早ければ今年度中に方針を取りまとめる。25年度以降に整備に着手し、避難住民の新たな生活拠点への移転につなげる。
今後、国と県、町外コミュニティーを構想する自治体、受け入れ先の自治体による協議の場を設け、調整を進める。
■住民意向調査始まる
東京電力福島第一原発事故に伴う避難自治体の町外コミュニティー構想の実現に向けた住民意向調査が8月17日、葛尾村で始まった。復興庁と県、村が共同で実施している。調査は双葉郡8町村など避難区域が設定された12市町村を対象としており、今回が第一弾。9月中に調査結果をまとめ公表する。
調査結果は町外コミュニティーの規模、必要な機能など決める上での基礎資料とする。国と地元自治体による意向調査は初めて。
葛尾村の対象は中学生を除く満15歳以上の約1400人。質問はアンケート方式で、全40項目からなる。帰村の希望や時期、条件、行政への要望、農林畜産業の再開の意思、政府が優先的に取り組むべき課題、避難先の居住形態、雇用状況、医療や介護で困っていることなどを聞いている。調査表は8月17日に郵送で発送した。
復興庁は同村以外に、これまでに避難区域が設定された県内11市町村と調査の実施に向けて調整しており、9月上旬に大熊町、10月に楢葉、富岡両町、11月に浪江、双葉両町で実施する予定だ。南相馬、広野、川内の3市町村は独自の調査に既に着手しているか、実施予定という。
平野復興相は「(調査結果は)町外コミュニティー構想を議論する重要な基礎資料になる」と強調。「(質問の)項目はかなり広い内容に及んでいるが、結果を踏まえて対策を考える」としている。
(カテゴリー:震災から1年6カ月 )