東日本大震災アーカイブ

「仮の町」富岡、大熊双葉、浪江4町が構想

仮の町構想を盛り込んだ第1次復興計画案をまとめた大熊町の検討委員会=8月29日、会津若松市

■いわき、郡山、町内の低線量地区 町外は26年度目標 富岡町
 町災害復興計画(第1次)案に町内の低線量地区、いわき、郡山両市の計3カ所に仮の町を設置する基本方針を掲げた。
 原則2年の仮設住宅の入居期間が平成26年3月まで延長されているため、いわき、郡山両市への設置目標は26年度とした。町内の低線量地区は除染作業などで医療や商業の各施設、行政機能の整備に時間がかかるとみて28年度を目標とした。
 町は9月中旬に開かれる9月定例議会に復興計画案を提出する予定だ。

■いわき周辺に29年まで拠点 大熊町
 8月下旬にまとまった第1次町復興計画案で3年後の平成27年から29年ごろまでにいわき市周辺での拠点(町外コミュニティー)づくりに取り組むとのスケジュールを盛り込んだ。この期間に役場機能と教育機関の移転準備を始め、住環境の整備を行う計画だ。
 その後、5年後の29年から33年ごろまでには移転を完了し、役場業務や教育機関の再開をしたいとしている。教育施設については、双葉郡内町村との統合学校も視野に入れている。
 一方、現在拠点としている会津若松市の維持強化にも取り組み、民間、公営住宅の借り上げなどで生活環境の向上を図るとしている。

■来年末めどに候補地 双葉町
 7月19日に埼玉県加須市で開かれた町復興まちづくり委員会の第1回会議で、仮の町事業の長期的スケジュールを示した。平成25年末をめどに仮の町の候補地を決定する方向で、27年度にも仮の町への移行を目指す。
 町が示したスケジュールによると、仮の町の用地選定に向けて規模や機能といった条件の調査と設定を年内に行う予定。町復興まちづくり委員会が9月をめどに行う中間報告の内容も用地選定に反映させる。
 同委員会が24年度内に策定予定の復興まちづくり計画案を基に、町は25年内に仮の町に関する構想案を策定する予定だ。26年からは構想案を基に基本計画や基本設計の策定、土地の造成、災害公営住宅の建築などを進める。井戸川克隆町長は6月定例町議会の一般質問で仮の町について「3年を目途に考えている」と表明していた。

■いわきと南相馬周辺中通り 27年度入居予定 浪江町
 町復興計画策定委員会は8月2日に開かれた幹事会で復興計画中間報告案のたたき台を示した。町外コミュニティーについては今年度から受け入れ候補の市町村などと協議に入り、平成27年度から災害公営住宅などに入居するというスケジュールを掲げた。
 スケジュールでは、受け入れ候補市町村との協議と並行し、設置場所や設置内容を今年度から整理する。25年度から整備計画の策定に入る。26年度から用地の造成や災害公営住宅の建設などを進め、27年度から順次、円滑な入居に努めるという内容だ。
 町復興ビジョンでは、町外コミュニティーの設置場所としていわき、南相馬両市周辺と中通り地方の3カ所を挙げている。

◎富岡、大熊、双葉、浪江 4町の「仮の町」設置目標
■富岡町
・いわき、郡山両市に設置(平成26年度目標)
・町内の低線量地区に設置(28年度目標)
■大熊町
・会津若松市の避難先の強化(27年ごろまで)
・いわき市周辺での拠点づくり(27~29年ごろまで)
・いわき市周辺に拠点設置。会津若松市周辺の住宅環境の充実(29から33年ごろまで)
■双葉町
・未定(27年度目標)
■浪江町
・いわき、南相馬両市周辺と中通り地方に設置(27年度目標)

カテゴリー:震災から1年6カ月