東日本大震災アーカイブ

仮設施設で再スタート 南相馬の「ホテル叶や」代表牧野さん

宿泊者のため献立を考える牧野さん=3日、南相馬市

 南相馬市原町区金沢に8月17日にオープンした仮設宿泊施設「ホテル叶や」には、相双地域で復旧作業や復興業務に携わる多くの人が訪れている。
 市内の深刻な宿泊施設の不足を受け、市旅館ホテル組合をはじめ、中小企業基盤整備機構(中小機構)、市などが協力して建設した。全室個室で100室ある客室は7割ほどが常に埋まり、12人の従業員がフル稼働で対応している。
 代表を務める牧野良仁さん(51)は同市小高区で「叶や旅館」を営んでいたが、東京電力福島第一原発事故の避難指示解除準備区域に入り休業。避難先を転々としていた牧野さんに組合の仲間が声を掛け、仮設の宿泊施設で再スタートを切った。
 家族で営んでいた叶や旅館では最大10人ほどの客を受け入れていたが、現在は約10倍の客室を運営する。牧野さんは客室を見回り設備などを確認するほか、宿泊客に提供する朝食の献立を考える。「戸惑うことも多いが、お客さんの感謝の声が何よりの励みになっている。気軽に利用してもらえるように努力していきたい」と業務に励んでいる。

カテゴリー:震災から1年6カ月