東日本大震災アーカイブ

今を生きる 事業所マップを作成 営業再開した60店掲載

マップを通し村民の絆が強まることを期待する大井さん

■計画的避難区域 7月再編の飯舘村 商工会青年部
 東京電力福島第一原発事故による避難を乗り越え、営業を再開した飯舘村民の事業所を掲載したマップが完成した。村商工会青年部が作った。「村民の絆がさらに強まってほしい」-。部長の大井利裕さん(38)は村外に避難する住民が情報を共有し、触れ合う機会になればと期待している。
 昨年5月中旬の全村避難開始から間もなく1年半を迎える。避難生活が長期化するにつれ、県内外に散った村民のつながりをいかに保つかが課題となっていた。青年部は村の助成を受け10月下旬、約4000部作った。各地にいる村民の全戸に配る予定だ。
 カラー刷りで縦が約40センチ、横約60センチ。福島市や村内などで再開した自動車整備工場、美容室、飲食店など60事業所の住所や営業時間、店舗写真を地図とともに掲載した。村内は7月に計画的避難区域が再編され、避難指示解除準備区域と居住制限区域で事業が再開できるようになった。県外の宮城県山元町に移転した石材業者も載り、村民同士が消息を知るのにも役立つ。
 掲載事業所のうちの20店舗で、来年1月4日まで村民を対象にしたスタンプラリーを催している。つながりを再構築する狙いがある。事業所を利用、もしくは訪問し専用の台紙にスタンプ5個以上集めると、抽選でゲーム機や折り畳み自転車などが当たる。
 村内臼石行政区でラーメン店を営んでいた大井さんは、福島市飯坂町の温泉保養施設「いやしの宿いいたて」で働いており、慣れ親しんだ店舗での営業再開を目指す。
 店の魅力の1つは住民が飲食を楽しみ、交流できる点だったという。「皆さんが再び集える場所が増えればいい」と話している。

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