■日本管楽合奏コンテスト 原町一中吹奏楽部
10日に東京都のシビックホールで開かれる日本管楽合奏コンテスト中学校A部門に出場する南相馬市の原町一中吹奏楽部。昨年は日本一の最優秀グランプリ・文部科学大臣賞に輝いている。2年連続となる大舞台に向けて、部員は一丸となって音色を重ねる。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で、原町一中は昨年、市内の鹿島小体育館に間借りして授業を行った。70人ほどいた部員は転校するなどし、一時は22人にまで減った。昨年の10月に自校に戻ったが、部員は困難な環境の中で音楽と向き合い、日本一の栄冠を手にした。
現在は部員は47人。転校先から母校に戻った部員も多く、互いに教え合い共に成長してきた。現在は毎日、始業前の朝練と放課後の全体練習に取り組んでいる。
10月のテープ審査を通過し、中学校A部門では全国18校のうち北海道・東北地方で唯一の出場を果たす。大会ではS・ラフマニノフの「交響的舞曲より第三楽章」を演奏する。就任3年目の阿部和代顧問は「生徒は仲間と共に音楽ができることに喜びを感じている。何事も諦めない強い気持ちが一体感を生んでいる」と話す。
3年で部長の福田茉耶さん(15)は一時、新潟県に避難したが、母校で仲間と演奏するために戻ってきた。昨年は副部長として日本一を経験した。「つらいこともたくさんあったけど、伝統ある原町一中の部員として出場できることがうれしい」と話し、全国の舞台に臨む。
(カテゴリー:連載・今を生きる)