東日本大震災

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警察官の使命と苦悩にじむ 震災救援の手記、県警監修1日発刊

捜索現場で犠牲者の冥福を祈って手を合わせる警察官=昨年4月11日、浪江町(手記集から)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故直後に救助・救援に当たった警察官とその家族の手記集が来月1日、発刊される。福島県警本部が監修し、福島民報社が編集に協力した。決死の覚悟で住民を守った警察官と、その活動を支えた家族の手記70編が収められている。「3・11」から間もなく1年9カ月-。震災と原発事故の風化が懸念される中、「あの日」の記憶を伝える。
 発刊される手記集は「ふくしまに生きる ふくしまを守る~警察官と家族の手記」。過酷な現場に向き合った警察官や、活動を支えた家族の思いを通し、震災、原発事故とは何だったのかを考えてもらおうと、震災、原発事故当時、救援・救助の陣頭に立った松本光弘県警本部長(現警察庁人事課長)らの熱意で、今夏から本格的な編集作業に入った。
 震災後に警察活動の記録収集・保存を目的に設置された「県警記録推進室」が震災直後から数カ月間で集めた警察官と家族の手記の中から70編を収録した。
 原発事故下、若い警察官を制して住民の救助・避難誘導に向かったベテラン警察官の覚悟、家族の安否より住民の安否確認を優先した父に憤りを感じながらも、次第に理解を深めていく家族の思い...。震災、原発事故直後の恐怖や使命、怒り、悲しみなどが切々とつづられている。
 救助や被災者支援の様子を捉えた110枚の写真も添えた。「いつまでも『ふくしま』を心に留めて...」。発刊に共感した郡山市出身の俳優西田敏行さんが推薦文を寄せた。
 記録推進室は手記集の編集のほか、これまでに県内外24カ所で写真と一部の手記を公開する作品展を開催したり、「震災語り部」として被災地で活動した警察官を母校に派遣したりして、震災の記憶を風化させない取り組みを進めてきた。
 記録推進室には、約9万枚の写真、数万時間に及ぶ約6500ファイルの映像が一括管理されている。当初は組織内部での記録保存が目的だったが、避難の長期化に伴い、被災者に対する情報公開に力点を移した。
 朝倉雅夫室長は「震災の記憶の風化が懸念される。手記集が本県の現状を強く記憶にとどめてもらう契機になれば」と話している。

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