東北電力の海輪誠社長は30日、仙台市の本店で記者会見し、家庭向けと企業向けの電気料金について「本格的に(値上げの)検討を開始する」と述べ、料金の引き上げ方針を正式に表明した。
本県を含む東日本大震災の被災地も例外としない。年明けにも経済産業省に申請し、平成25年度の早い時期の実施を目指すとしており、7月前後とみられる。認可を受けて実施すれば、昭和55年以来の本格値上げとなる。
上げ幅は保有する原発の再稼働時期や、人件費などコスト削減の余力を見定めて決定する方針で、家庭向けで10%前後を軸に検討されるもよう。企業向けは家庭向けより大きくなる可能性がある。
被災地への対応について海輪社長は「本当に悩ましいが公平な負担の観点から、被災地だけを減免するのは難しい」と説明し「値上げ幅を圧縮し(経済への)マイナス影響を小さくする。一日でも長く現行の料金制度を維持したい」と理解を求めた。
東北電によると設備の被災や、原発の長期停止に伴う火力発電の燃料費増加など震災関連でかかった費用は平成25年3月期までで9000億円程度に達すると予想され、同期の連結純損益は1000億円の大幅赤字となる見込み。3年連続赤字が避けられない情勢となる中、原発再稼働の見通しも立たず、値上げなしでは収益悪化を止められないと判断した。
東北電は値上げに当たり12月からの役員報酬の自主返納幅を現行の最大2割から、最大4割に拡大する方針を発表。この他、社員の給与を2割程度カットする方向で労働組合と協議中で、来春以降の新卒採用を抑制するなど、合理化を徹底するとしている。
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