東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の見直しで、政府の原子力災害対策本部は30日、全域が警戒区域の大熊町を、10日午前零時に放射線量に応じて帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編することを決定した。全域が警戒区域の自治体の再編は初めて。合わせて政府の原子力災害現地対策本部は避難指示解除時期を全町一律に原発事故から6年後の平成29年3月11日とすることを決めた。
避難指示の解除時期決定は飯舘村に次いで2番目。帰還が町内全域で原発事故後6年となったことで、土地と建物の賠償は全世帯が全損扱いとなる。
町の人口は11月30日時点で約1万900人。今回の再編では原発事故前に町民の約96%が住んでいた地域が帰還困難区域に当たる。残る居住制限、避難指示解除準備区域の4%の住民が数年後に帰還しても町政、住民生活は成り立たないとして、町は町内全域が同じ帰還時期となるよう政府に要望していた。政府もこうした背景を考慮し、町内一律の避難指示解除を決めた。
政府と東電の土地や建物の賠償基準では、少なくとも今後5年間(原発事故後6年間)、帰還が難しい帰還困難区域は全損扱いとなる。居住制限、避難指示解除両区域は解除までの期間に応じて減額し、解除が5年以上先になれば全額を支払う方針を示していた。
町は第一次復興計画で区域の種別にかかわらず5年間(原発事故後6年間)は帰還しないことを宣言している。渡辺利綱町長は「帰還に向けての一歩を踏み出せる。生活再建のため、賠償を早急に請求できるよう国や東電に要望する」とした。
()