東日本大震災アーカイブ

生活再建に不可欠 避難者「早急に支払って」

 避難生活が長期化する住民にとって財物賠償は生活再建の貴重な原資となる。

 葛尾村の松本貢一さん(42)は三春町内の仮設住宅で理容店を続けているが「賠償額が心配だ」と話す。村にある自宅と店舗は築約30年だが、現状で算定された賠償金で新たに村外に自宅や店舗を構えるのは困難−とみている。村の区域再編が進まない中で、避難指示解除後の帰還状況は見通せない。常連客に支えられる部分が大きい理容店だけに、先行きに不安を抱いている。「妻と幼い子を養うために、どのように生活を立て直せばよいのか…」と苦悩する。

 会津若松市の借り上げ住宅に暮らす大熊町の赤井知子さん(74)は町の動向次第で移住も検討するという。今は年金と賠償金でやりくりしているが、「今後の生活がどうなるか分からない。早急に支払ってほしい」と求めた。

 楢葉町から、いわき市平の借り上げ住宅に避難する上小塙行政区長の松本新一さん(65)は「先行きが不透明な状況でも自宅に戻りたいと願うお年寄りのストレスはたまる一方だ。一人一人の状況は異なるが1日でも早く納得する形でまとまってほしい」と願った。

 南相馬市原町区の仮設住宅に避難している山崎一男さん(63)の同市小高区の自宅は築18年。「賠償が進まない限り、別の場所に住まいを求めるか戻るか結論が出ない」と表情を曇らせた。

カテゴリー:震災から1年9カ月