東日本大震災アーカイブ

大熊町民「納得いかない」 若松で環境省、中間貯蔵施設現地調査へ説明会

環境省の担当者の説明を聞く町民

 中間貯蔵施設の建設候補地での現地調査に向けた環境省の説明会が8日、大熊町の該当行政区の住民を対象に会津若松市で開かれ、町民からは「納得いく説明ではなかった」と不満の声が相次いだ。
 同省が住民に直接説明するのは、候補地となっている3町で初めて。夫沢一、二、三、大和久、小入野、野馬形の各行政区を対象に合計2回開かれ、1回目には約90人が訪れた。
 「適さなかったら町外に候補地を移すのか」「われわれが同意しなければ建設しないのか」などの住民の質問に対し、環境省の藤塚哲朗中間貯蔵施設チーム長は「まずは調査をさせてほしい」と述べるにとどまった。
 住民からは補償や最終処分場の見通しを先に示すべきとの指摘も。これに対し、「何とか除染を進めたいとの思いがあり、お願いするしかない。一刻も早く青写真を示したく、全ては調査を終えてから」と理解を求めた。
 30年以内の県外での最終処分については「減容化などの技術進展によるところが大きく、研究開発に力を尽くしたい」と述べた。
 町内でコメと野菜の有機栽培を行っていた渡部隆繁さん(63)は「具体的な住所や代替地などの話があると思ったが、全くなかった」と憤った。
 自宅が搬入路の288号国道沿いという鈴木八洲男さん(65)は「いつ帰れるのか知りたかったが、答えはなかった。この手の説明会はいつも知りたいことを説明してもらえない」と話した。
 説明会は9日に郡山市、10日にいわき市で開かれる。
 藤塚チーム長は除染に手抜きがあったとされる問題について「徹底した除染を指導していく。申し訳ない」と謝罪した。

カテゴリー:福島第一原発事故