■Jヴィレッジ副社長 高田豊治さん 64
「サッカーを通じ豊かな人間性を養いたい」。Jヴィレッジ副社長の高田豊治さん(64)=いわき市平=はそう願いながらボールを追う子どもたちを見詰めている。
中学生世代のクラブチーム「Jヴィレッジスポーツクラブ(JSC)」は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴い一時、活動休止を余儀なくされたが、子どもたちや保護者の声を受け、1カ月半後にはいわき市内で活動を再開した。JSC代表を務める高田さんは「Jヴィレッジの明かりを絶やさないよう活動を継続させることが大切」と話す。
平成15年1月に発足したJSCはJヴィレッジを練習拠点に浜通り一円から約60人の中学生が参加していた。抜群の練習環境とスタッフに支えられ年々、競技力が向上し、東北屈指の強豪チームに成長した。
震災と原発事故後、スタッフが安否確認のためブログを立ち上げたところ、子どもたちの反応は素早かった。「早くサッカーがしたい」「ボールを蹴りたい」。高田さんらは市内の民間サッカー場や高校の協力を得て練習場を確保した。
現在は平工高グラウンドを中心に週4回程度練習に励んでいる。仮設住宅から通う子どももいる。1月上旬にはクラブOBでJリーグ一部(J1)広島の主力選手・高萩洋次郎さん(26)=いわき市出身=がオフシーズンを利用して練習に参加し「目標と夢を持つことが大切」と呼び掛けた。以前に比べると、決して恵まれた環境ではないが、高田さんは「サッカーに懸ける情熱を大切にしたい。気軽に参加してほしい」と入部を呼び掛けている。問い合わせはJSCジュニアユースコーチの明石重周さん(34) 携帯電話080(1853)3476へ。
(カテゴリー:連載・今を生きる)