東日本大震災アーカイブ

農林漁業再生 本県沖漁自粛続く 試験操業徐々に拡大

 原発事故の影響で本県沖では出漁自粛が続いている。

 相馬双葉漁協、県漁連、相馬原釜魚市場買受人組合などは昨年6月に試験操業を開始。放射性物質検査で安全性が確認された海域で、小規模な操業と販売を試験的に行っている。水揚げ対象は当初のタコ、ツブ貝など三魚種から2月末現在、13魚種に拡大した。

 一方、ヒラメやカレイなどの近海魚の一部からは国の基準値を超える放射性物質が検出されるケースもあり、全面的な漁再開の時期は見通せていない。

 相馬双葉漁協といわき市漁協は3月からコウナゴの放射性物質重点調査に取り組む。調査結果を踏まえ、いわき市漁協もコウナゴを対象にした初めての試験操業を実施するか検討する方針だ。

■農業産出額平成23年 前年比2割減 風評で価格下落
 震災と原発事故の影響で、本県の平成23年の農業産出額は1851億円となり、前年比で479億円落ち込んだ。風評被害による価格下落が追い打ちを掛け、減少率は20・6%で全国最大になった。

 内訳ではコメが750億円で前年比41億円減、野菜は389億円で同162億円減、果実は197億円で同95億円減、畜産は417億円で同124億円減などとなっている。

 県農林企画課の担当者は「とりわけ野菜や果実、畜産の下がり幅が大きかった。風評被害により市場価格が下落した影響ではないか」と分析した。

カテゴリー:震災から2年