震災によって損傷などの被害を受けた県内の文化財は順次、修復が進んでいる。ただ、原発事故による警戒区域内の文化財の保存・管理は依然として大きな課題だ。
富岡、大熊、双葉の3町では昨年秋以降、それぞれの資料館から土器や石器、古文書などの有形文化財が搬出された。
しかし、多くの文化財は残されたままだ。温度や湿度が適切に管理されていないため、一層の劣化が危惧される。
無形文化財である被災地の民俗芸能も危機的な状況にある。津波被害を受けた沿岸部や原発事故の避難区域では、住民がばらばらに避難しているため、継承が難しくなっている。
そうした中、各地で民俗芸能を継続しようと住民が力を尽くしている。南相馬市小高区に伝わる「村上の田植踊」や浪江町津島の「津島の田植踊」など12件は、継承に向けた文化庁の補助が決まった。
■継承に向け文化庁の補助を受ける被災地の民俗芸能
▽いわき=豊間の獅子舞
▽相 馬=磯部上古の手踊、磯部の子ども手踊
▽南相馬=村上の田植踊、塚原の神楽、北萱浜の天狗舞
▽浪 江=請戸の田植踊、本城の神楽、室原の神楽、津島の田植踊
▽大 熊=熊川の稚児獅子舞、長者原のじゃんがら念仏踊
(カテゴリー:震災から2年)