■村防犯見守りパトロール隊
川内村の防犯・防火に民間レベルで取り組む「村防犯見守りパトロール隊」の出発式は2日、村民体育センターで行われた。前身の村地域保安隊の活動を強化することで、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に伴い避難した村民の帰還を促す。隊長の農業遠藤豊治さん(70)は「かつての安心、安全な川内を取り戻し多くの村民に帰村を呼び掛けたい」と誓った。
遠藤さんは村役場機能が村内に戻った昨年4月、郡山市の借り上げアパートから村内の自宅に生活の拠点を徐々に移した。「自宅に泥棒に入られた知り合いが多い。震災と原発事故前はこんなことはなかった。絶対に許せない」。以前から防犯活動に協力する遠藤さんは、やりきれない思いを吐露する。
「パトロールを通じて犯罪や火災を防ぎたい。地道な活動が古里を取り戻すことにつながる」と決意する。「一歩ずつ前進したい」との思いから遠藤さんは今年、本業のコメの作付けを再開する。
出発式には遠藤さんら隊員18人をはじめ村担当者、双葉署、県警本部、浪江消防署など関係機関から約40人が参加した。遠藤雄幸村長が「旧警戒区域の村民はいまだに自宅に宿泊できない。引き続き治安維持や防火に協力してほしい」、渡部敏久双葉署長が「双葉郡内の再編が進み、出入りが激しくなっている。地域と連携し犯罪抑止を強化する」と話した。終了後、白バイ2台を先頭にパトカーや青色灯付き車両など約10台がパトロールに向けて出発した。
村地域保安隊は緊急時避難準備区域が解除された平成23年9月から県の絆事業の一環として村内の巡回を始めた。今年4月1日からは復興庁の帰還加速事業に切り替え、防犯見守りパトロール隊として新たなスタートを切った。これまでは巡回中心だったが、車両に取り付けたスピーカーでの啓発や防犯灯の点検など、さらにきめ細かな活動を加えるという。
(カテゴリー:連載・今を生きる)