■京都府警から県警に特別出向 飯舘出身 高橋浩幸さん(34)
飯舘村出身で京都府警から県警に特別出向した高橋浩幸巡査部長(34)は、県警本部災害対策課特別警ら隊の一員として、東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域や仮設住宅などをパトロールする。10日、福島市の県警察学校で行われた入県式で「古里に恩返しする」と誓った。
福島東高から京都市の立命館大に進んだ。故郷は、東日本大震災と原発事故で一変した。実家のある飯舘村飯樋は居住制限区域になり、父仁司さん(58)と母恵子さん(56)、祖母貞子さん(79)の3人は福島市飯野町の借り上げ住宅で避難生活を強いられている。
福島市と京都市は直線距離にして約750キロ。電話で両親らから、惨状と長引く避難生活の苦しさを聞いていたが、もどかしかった。「今こそ古里に戻るべきだ。少しでも復興の役に立ちたい」。本県への派遣を願い出た。
京都市の自宅に妻(34)と長男(3つ)を残してきた。身重の妻は「あなたの決断を誇りに思う」と背中を押してくれた。「さみしい思いをさせるが全力で頑張ってくる」と玄関を後にしたという。
貞子さんは帰郷を手放しで喜んだ。高橋巡査部長も「避難する家族に頑張っている姿を見せたい」と言う。特別出向の「ウルトラ警察隊」に与えられた期間は1年。挑戦が始まる。
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