郡山市の仮設住宅で暮らす富岡町の無職北崎一六さん(65)は自宅が避難指示解除準備区域、所有する田畑が居住制限と帰還困難の両区域に指定されている。自宅庭の空間線量は毎時2マイクロシーベルトほどで、田畑はもっと高い。再び自宅で暮らせるように「早く除染を進めてほしい」と訴える。
防護服の着用は義務ではないが、無用な被ばくを避けるために帰宅時の着用は欠かさない。庭先は背丈程に伸びた雑草が埋め尽くす。区域再編前も一時帰宅のたびに草を刈っていたが、防護服を着ての作業は息苦しく15分と持たないという。「すぐに汗が噴き出す。水も出ないので、下着を何着も持っていって、着替えながら草を刈っている」
仮設住宅から自宅までは往復2時間半もかかる。頻繁に帰宅するには、時間的にも体力的にも負担が重い。「自由に入れるようになったが、まだまだ町に帰れる道のりは遠い」。仮設住宅の一室で自宅の写真を眺めながら古里を思っている。
(カテゴリー:震災から2年1カ月)