「春を告げる魚」として親しまれているコウナゴの試験操業は3月下旬のスタート以来、放射性物質は検出されず順調な出荷が続いている。東京電力福島第一原発事故の影響で本県沖の出漁自粛が続く中、相馬双葉漁協が相馬沖で取り組んでいる。4回目の操業が10日、行われた。
ゆでた加工品を初回から地元と東京方面に出荷しており、5日に実施した3回目の水揚げ分は名古屋方面にも流通させた。同漁協によると、震災前の相場と同様に取り引きされており、市場の反応は上々。今季は全国的に漁獲量が少ないことも追い風になっているという。
コウナゴ漁には小型船52隻が参加している。東日本大震災前年の平成22年春以来、3年ぶりとなる「出漁」で、沿岸海域での操業は初めて。試験操業の拠点である相馬市の松川浦漁港に加え、新地町の釣師浜漁港、南相馬市鹿島区の真野川漁港からも初めて出船している。
試験操業は24年6月から始まった。漁獲対象拡大を続けており、コウナゴは14魚種目。今後は小型船の主要魚種で夏〜秋を主漁期とするシラスへの対象拡大などを検討する。同漁協コウナゴ操業委員長の今野智光さん(54)は「安全性などの実績を積み重ね、本格操業に向けて前進していきたい」と話す。コウナゴ漁の試験操業は、いわき市漁協、小名浜機船底曳網漁協も準備を進めている。
(カテゴリー:震災から2年1カ月)