東日本大震災から2年3カ月となった11日、東京電力は廃炉作業が続く福島第一原発を報道陣に公開した。現場では、汚染水を保管する地上タンクの設置が進むが、増え続ける汚染水を一次保管する以外に対応策はなく、廃炉に向けた課題の多さがあらためて浮き彫りになった。
地下貯水槽での汚染水漏れを受け、地上タンクへの移送を開始し、9日に終了した。東電は平成27年9月までに汚染水を保管する地上タンクの総容量を70万トンに増やす計画で、敷地南側のエリアにはタンクがずらりと並んでいた。
汚染水の発生を抑えるため、建屋内に流れ込む地下水をくみ上げる「地下水バイパス」の井戸も公開した。東電は地下水に放射性物質が含まれていないか調べ、安全性を確認して海に放出する計画。ただ、現時点で漁業関係者ら地元の理解は得られていない。
11月にも使用済み燃料プールから燃料取り出しを開始する予定の4号機では、大型クレーンを使い、建屋を覆うカバーの建設工事が進んでいた。政府と東電などでつくる廃炉対策推進会議は10日、1~3号機の溶けた燃料の取り出しを従来計画から最大1年半前倒しする改定案を公表したが、溶け落ちた燃料の状態はいまだ不明。さらに、3号機タービン建屋海側ではこの日、毎時1・5ミリシーベルトを計測するなど依然として高線量のエリアがあり、作業の妨げとなっている。
東電は今月下旬から、原子炉への注水に使用する水の主水源をタービン建屋海側にある復水貯蔵タンク(CST)に切り替える計画も明らかにした。現在、原子炉から離れたバッファタンクの水を使用しているが、建屋周辺にあるCSTを水源にすることで屋外に張られた配管の全長が1キロ短縮され、3キロになる。配管からの水漏れのリスクが低減されるという。26年度末を目標に建屋内の水循環のみで原子炉を冷却する水循環システムを導入する方針。
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