東日本大震災の津波で集落の全70世帯が被災し、54人が亡くなった南相馬市鹿島区南右田行政区の慰霊碑建立式が7日、碑が建てられた同区のみちのく鹿島球場前で行われた。かつての住民約150人が仮設住宅などから集い、あらためて犠牲者を追悼した。
同区のほとんどが災害危険区域に指定され、住宅を再建するのは2軒にとどまる。住民の心のよりどころになるよう行政区として碑を建立した。
黒御影石の碑は台座も含め縦横2・3メートル。表には8歳から88歳までの犠牲者の名前、裏には70世帯の世帯主の名前を刻んだ。
式では五賀和雄区長が津波に襲われた日の様子を振り返りながら「もっと何かできなかったかと、悔やんでも悔やみ切れない。碑の近くには桜の苗木も植えた。南右田の絆を忘れず、大震災を後世に伝えるのは私たちの責任」と述べた。桜井勝延市長のあいさつ、百田尊道宝蔵寺住職の読経に続き、参列者が焼香した。
福島市から訪れた団体職員鎌田正志さん(63)は「両親が犠牲になったが父は見つかっていない。碑に向き合い、参列者が同様の痛みを共有していると感じた」と話した。
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