27日に開幕する国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追」に向け、南相馬市小高区の相馬小高神社に供奉(ぐぶ)する標葉郷騎馬会は福島市で、小高郷騎馬会は南相馬市でそれぞれ14日、出陣式を行った。東京電力福島第一原発事故で避難生活を送る両騎馬会員は県内外から出陣を果たし伝統をつなぐ。
■福島で再会、気勢
【標葉郷騎馬会】福島市のホテル辰巳屋で行い、浪江、双葉、大熊三町から県内外に避難している騎馬会員ら約60人が出席した。
相馬小高神社の方角に向かって礼螺(れいがい)を行い、相馬胤茂相馬小高神社禰宜(ねぎ)と林茂騎馬会長が役付けごとに供奉章と肩印を手渡した。
相馬禰宜が「相馬野馬追が開催される三日間だけは、東日本大震災前の気持ちに戻ってもらいたい」、林会長が「故郷から出陣できる日を信じて、職責を全うしよう」とあいさつした。
吉田栄光郷大将は「武勲を目指して威風堂々と出陣し、避難生活を送る住民に大きな勇気を与えよう」と呼び掛けた。
祝宴に移り、中島三喜軍師と浪江町の馬場有町長、浪江町が役場機能を移している二本松市の三保恵一市長らが祝辞を述べた。
■誇り胸に原町集結
【小高郷騎馬会】南相馬市原町区のニューさいとうで行い、騎馬会員ら約60人が出席した。
相馬小高神社に向かって礼螺(れいがい)を吹奏した後、相馬胤道宮司が本田信夫会長に供奉証を手渡した。本田会長は佐藤邦夫郷大将、清信正幸軍者ら騎馬会員に供奉証、肩章、辞令を交付した。
本田会長が「伝統を絶やさずにつなぐことが責務。威風堂々の出陣を」と激励した。相馬宮司、佐藤郷大将があいさつし、松本充弘副軍師が訓示した。相馬野馬追執行委員長の桜井勝延南相馬市長や山沢征小高区野馬追執行委員長らが祝辞を述べた。
式後、祝宴が開かれ、騎馬会員が「相馬流れ山」を斉唱し、出陣に向けて士気を高めた。
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