東日本大震災アーカイブ

行燈作り心癒やして 美里の宮里仮設 18日に教室

行燈作り教室を前に準備を進める石井さん

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、楢葉町民が避難する会津美里町の宮里仮設住宅で18日、行燈(あんどん)作り教室が開かれる。同仮設住宅で暮らす石井紀長さん(72)が指導する。竹細工の行燈などを集会所に寄付しており、住民からの「教室を開いてほしい」との声に応えた。
 石井さんは震災と原発事故の後、下郷町の湯野上温泉など数カ所の避難所を経て、会津美里町の仮設住宅に住むようになった。
 手先の器用さを生かして、仮設住宅の棚や物干し場を自分で作った。趣味の竹細工を再開し、飾りの付いた行燈の他、木製の外国の楽器なども作り、集会所に置かれている。
 教室開催は、仮設住宅の人々から寄せられた「自分たちも何か作りたい」との要望を受けた。石井さんは、生まれ故郷の広野町で材料を集め、こつこつと下準備を進めてきた。
 石井さんは楢葉町に住んでいたころから、仕事の傍ら、独学で竹を使った工作や尺八作りなどに取り組んでいた。自宅前で作業していると近所の人や学校帰りの子どもたちが集まるなどしていたという。
 陶芸も趣味にし、窯を設けるほどの打ち込みよう。地元の保育所に出向き、出前教室などを開いたこともあったという。
 避難した当初は緊急雇用などで働き口はあったが、契約期間が終了すると、継続とはならなかった。
 しかし、下ばかりは向いていられなかった。石井さんは「厳しい避難生活が続くが、みんなの心を癒やせればうれしい」と話している。