東日本大震災アーカイブ

富岡町に求める 沿岸部の災害廃棄物搬入 環境省

 環境省は富岡町に対し、既存の管理型最終処分場への沿岸部の災害廃棄物搬入を求めている。

 処分場は富岡町上郡山にあり、民間企業が運営している。処分場面積は約9・4ヘクタール。埋め立て容量は約96万立方メートル。搬入するのは県内で発生している一キロ当たり10万ベクレル以下のがれきや放射性物質を含む廃棄物、除染廃棄物の焼却灰など。同省は処分場を選んだ理由について「廃棄物が多い地域内に立地しており、十分な残余容量がある」としている。

 同省は9月末までに廃棄物の搬入量や安全性確保に向けた方策などの具体像を明らかにする方針。廃棄物の搬入量は約70万トンを予定している。

 宮本皓一町長は楢葉町を通過しなければ施設に廃棄物を搬入できないことを挙げ、「一つの町で搬入の可否を決めることはできない。双葉郡全体で考えるべき問題」と強調。町民への説明会開催などを求めている。

 山本育男富岡町商工会長(55)は「国はしっかりとした安全対策を住民に説明すべき」と語った。


■県内災害廃棄物 推計345万トン
 震災に伴う県内の災害廃棄物の発生見込み量は、県の推計で345万トンとなっている。このうち7月末現在の処理量は177万5千トン(51・4%)で、ようやく半分の処理が終わったばかり。国直轄で処理する避難区域は処理が進んでいない。

 県内各方部の処理状況は【表】の通り。処理の完了率は会津地方が100%、中通りが67%、浜通りが42%。政府は当初、平成25年度内の完了を目標としていたが、処分場や仮置き場確保が難航。政府は計画通りの完了を断念した。国が直轄処理する避難区域を除き、26年度のできるだけ早い時期に完了させる方針だ。

 一方、避難区域のがれきは大半が放置されたまま。一部で仮置き場への搬入が始まっているものの、処理できていない。国は近く、新たな処理の工程を示すが、放射性物質に対する不安から仮置きや仮設焼却炉建設に懸念を示す住民も多く、完了見通しは立っていない。

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